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第9章(最終章)

第9章
Q1
財政危機への対処をどうするか?―全国共通のテーマー
A1

①沼津市の行政と市民の紛争は全国共通の問題
沼津市の沼津駅周辺鉄道高架化事業を巡る行政と市民との紛争は,こと沼津市だけの問題ではなく,全国の地方都市に共通する問題だと思います。21世紀の今,時代は,人口減少,経済の成熟停滞という20世紀とは大きく異なる経済環境にあり,地方都市の先行きは不透明,その中で地方都市の将来の都市像,公共事業の役割や評価,情報公開や市民参加,利権構造や談合問題などの地方都市が直面する課題をどのように見て,どう対処し,改革すべきか。これは全国の地方都市のどこでもが共通に持っている問題だと思います。

②地方再生を目指す安倍政権の課題
とりわけ,財政問題は深刻の度を増しています。地方再生を目指す安倍政権にとって,地方財政の改革は大きな課題です。三位一体の改革はさらに促進されるでしょう。補助金や地方交付税の見直しも必至でしょう。今ある補助金が未来ともあるとは思えません。深刻な自治体の破綻は,一人北海道の夕張市だけではありません。顕在化する自治体の破綻,財政力の弱体な自治体の起債能力の低下,起債コストの差が生じる市場の荒波など,地方財政は,これから試練に見舞われていくでしょう。

③国の過保護政策
箸の上げ下ろしまで国が口を挟み,面倒を見てきた地方行政ですが,過保護の政策が,民間の不良債権の面倒を迫られた旧大蔵省の護送船団方式,なんでも国が面倒を見るといわれた不良債権対策と同じで,地方行政でも,なんでも国頼みをする自治体のモラルハザードを生んでしまっているのでしょう。自治体には,何事も国にお願いを建てるのが常態化していて,財政危機が迫っても,市民にはそれを隠し,粉飾決算を続けて,最後には国に救いを求めるしかない地方自治体の姿勢が続いているのです。

④自治体は長い間,「親方日の丸」
自治体は長い間の「親方日の丸」,甘やかしの行政の付けで,財政の危機意識が欠落しています。いまだに,国頼みの公共事業で財政再建が果たせると思っているのかもしれません。沼津市に限らず,今は,まだ,財政の余裕のある自治体でも,将来の財政事情を考えて,長期的な視点で政策や事業化を決めていく必要があるのです。利権にまみれた市議会も当面の利権確保に狂奔するのではなく,時代の転換を踏まえて,地方自治体の先行きに目を向けなければなりません。将来への先見性を持った政策論争こそ,議会の仕事,議員さん達の役割です。

⑤沼津市の年間予算の3倍以上の「箱もの」でよいのか
沼津市には,まだ,比較的健全な財政事情が残っているにせよ,沼津駅周辺総合整備事業という年間予算の3倍以上の規模の「箱もの」作りを進めるに当たっては,国全体の大きな流れを慎重に考慮しなければならないのです。この騒動は,そのことを教えているのではないでしょうか。


Q2
利権構造,談合体質の改革をどうするか?
A2

①「議員」の役割を見直す
地縁,血縁,利権で結ばれた自治体の議会制度,議員意識をどう改革するのか,先行きをしっかり見据えて,地方都市の先行きを考えなければならないときに,利権争いに終始する自治体の議会活動はどうあるべきなのか,国会議員も含めた議員の役割は何か,改めて考えなければなりません。大小の利権を巡り,身内,地元の損得の争いで都道府県,市町村議会が機能しているのではないのか。全体を考える姿勢に乏しいのが地方自治体の議会活動だと思われています。

②日本の政治体制の改革が必要ではないのか
さらに,最近の福島県でも和歌山県等で見られる知事辞職までに発展して,いまだ横行している官製談合事件,談合問題は,決して二つの自治体だけの話ではなく,国会議員から市町村議員まで含めた全国の国,自治体に共通する問題であろうかと思います。
談合構造の背景には,長い間,右肩上がり経済で財政収支が増えて,まん遍なく利益が公平に分配され,フェアシェアが,歓迎された時代であったことがありました。しかし,右肩上がり経済が終わり,公平に分配する余裕がなくなっており,高コストを招いた談合の弊害を抑制するためにも,公共事業の入札契約は納税者の利益を考えて,適切な競争が機能する仕組みが求められています。契約コストが高くなり,談合による高い価格が結果的に地元の利益につながっていた公共事業は,その役割を終わっています。利権を温存し,高コストにつながった地方自治体の談合体質には,大きな改革を求められています。

③地方吏員も自覚が必要
地方自治体の談合体質は,そこで働く地方吏員も十分に知っているはずですし,自ら手を染めているかもしれません。狭い社会で,地縁,血縁で囲まれた地方自治体では,吏員は首長や地方議員の下僕にならざるを得ず,保身のためもあって多く吏員は談合の横行を見て見ぬ振りをしているのでしょう。

Q3
真の情報公開,市民参加をどうするか?
A3

①沼津市の「箱もの」を巡る紛争
沼津市の「箱もの」を巡る紛争には,行政と市民が協調と対話を欠き,無用な対立を深めてしまった感が強く感じられます。情報公開,市民参加は,地方行政にとって民主主義を発揮させる大切な手段ですし,この数年で制度も整備されていますが,実際には,情報公開,市民参加がかえって,行政と市民の間の紛争を激化させ,円満な解決を失わせている感がしてなりません。行政当局は,市議会が市民を代表し,その市議会で十分な論議を経たのですから,また,市民には複雑な公共事業を判断する能力がないという理由から,市民参加を拒否し,行政に都合の悪い情報は提供しないという姿勢をとっていたようです。市民サイドは,行政の姿勢を不誠実だとあげつらい,感情的に反発するだけで,対話をすることなく,住民投票条例の制定運動から市長リコール運動に進んでしまいました。紛争のための紛争になってしまったようです。聞くところによると,市民代表と市長や市議会議員との直接の対話も面接もなかったようです。

②まず行政や議会の情報開示が大切
情報公開が行政や議会にとって都合の悪い情報の開示を求め,行政や議会をあげつらう手段にしかなっていないということからか,極力,黒塗りの文書のように,情報公開に狭く対応することで,市民がますます反発することになってしまいます。そして公共事業への市民参加は,反対,抵抗のための手段になってしまいます。議会での合意形成が阻害されるということで,行政と議会に市民の要求を容易に受け入れようとしない姿勢が如実に現れています。建前としての形式的な仕組みではなく,地方行政にとって,市民参加とは何のためのものか,情報公開とは何をなすべきなのか,改めて市民と行政が相互に考えてしかるべきものだと思います。
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