Q3地方都市の衰退の実情と全国共通の問題か?
A3
①地方都市での中心市街地衰退は全国共通の問題
地方都市における中心市街地の衰退は全国で共通していますが,沼津市は特に深刻です。国土交通省が実施した「全国666都市に対するアンケート調査」を見ましょう。「中心市街地の活性化の要因と方策に関するアンケート調査」によると,中心市街地の衰退が大変深刻である都市が26.3%,深刻である都市が54.9%と実に80%を超える自治体が中心市街地の空洞化という深刻な事態に直面しています。特に,人口5万人から20万人の中都市では,27%の都市が大変深刻であるとされており,沼津市はその典型であるといえます。
②中心市街地の空洞化は全国8割の地方都市に拡大
これまで,人口減少が進んでいる都市での住宅の立地を見ると,全国平均で,主として郊外部に立地している都市が64.6%,人口5万から20万人の都市では,64.2%の都市と3分の2が郊外に立地しているとしています。大変人口が減少している都市では,69.6%の都市が郊外部へ立地しており,郊外部,中心部ともに住宅立地が進んでいない衰退のきわみにある都市が,24.2%もあります。
③進んだ住宅の郊外立地化へ
大変深刻である都市では,新設住宅の80%が主として郊外へ立地しています。特に問題のない都市では,バランスよく,郊外部,中心市街地ともに住宅が立地しています。公共機関が郊外へ転出した自治体では,とくに衰退が著しいようです。公立病院,市役所,公立学校などが郊外へ立地している自治体はどこでも,深刻な空洞化を招いており,沼津市も例外ではありません。沼津市では,市立病院,沼津東高校,沼津商業高校,歴史博物館等すべて郊外へ転出しています。特に病院が郊外移転した自治体では,大変深刻な事態になっている都市が,34.5%もあり,深刻な事態が62.1%と合わせると約97%が深刻な事態になっています。沼津市立病院の立地も同じです。あの北のはずれに立地したのは富士市との合併を考えて決めたのでしょうか。中心の市立病院が,最北の場所に立地しては,南の住民はクルマなしには病院へいけないし,バスの時間もコストも馬鹿になりません。
④買い物客も郊外スーパーが増加
日用品の買い物の場所は,地方の中核的な都市では,中心市街地の商店が2.3%,中心市街地の大型スーパーが20%,市民の4分の1しか中心市街地の店を利用していません。4分の3は郊外の大型スーパーの利用です。日用品以外の買い物の場所は,地方の中核的な都市では,中心市街地の商店は7.3%,中心市街地の大型スーパー,百貨店が41.6%,中心市街地での買い物は半分に満たないのです。沼津では,中心市街地の大型デパートが撤退でもすれば,まともな買い物はみんな東京へ行ってしまうかもしれません。
⑤都市計画の第1は都心回帰への期待
空洞化が進んだ都市の市民が住んでいる町の望むことは,中心市街地に公共施設が集まった便利な町にすること,中心市街地が徒歩,自転車で安心して買物ができる都市になること,中心市街地に多くの商店が集まって便利になることをあげており,都市計画では,第1に中心市街地の活性化を望んでいます。
⑥今後の街づくりの方向
今後の街づくりの方向として,大変深刻である都市では,既存の中心市街地に都市機能をコンパクトに集約して,郊外部への拡大を抑えることが62.8%と3分の2であり,特に問題のない都市の18%とは大きな格差が見えます。都市づくりへの市民の見方は,中心市街地の復権であります。問題は,どうしたらそうなるかです。鉄道高架化事業だけで,それを成し遂げることができるのだろうかということです。
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