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沼津をこよなく愛した 快男児長谷川徳之輔君逝く 渡辺利明

沼津をこよなく愛した
快男児長谷川徳之輔君逝く 渡辺利明
 畏友畏谷川徳之輔君が逝ってしまった。徳ちゃんとは沼津四中の同級生。戦後の廃墟の中、現在の四中が建設され、そのグラウンドの暗渠整備のため香貫山裾から岩石を掘り出してはモッコ運びをした仲だ。
 あれから六十有余年。沼津東高から東北大学に進み建設省に奉職した彼とは、しばらく疎遠であったが、あのバブル経済の真っ最中、千本の居酒屋で行き会い、日本経済を論ずるようになり、急速に付き合いが復活した。まさに小中学生時代に戻り、お互い言いたい放題、議論は尽きなかった。
 地価高騰バブルの中で建設省から、その外郭団体、建設経済研究所に出向した彼は、地価問題解説でNHKや民放各社のテレビ番組に連日引っ張り出され、また多くの講演会もこなした。バブルに浮かれる日本経済の潮流に大きな警鐘を鳴らし続ける彼に対し、政官財界は冷ややかな対応を示した。徳ちゃんは、これら権力にひるむことなくバブルの弊害を主張し続けた。
 その後の日本経済の推移を見れば、まさに彼の指摘した通りとなった。金融機関の破綻、統廃合など日本は大きなダメージを受けたのだが、バブル発生の初期段階では彼の指摘は余り重視されなかったように記憶している。当時、バブルに便乗して多額の利益を上げた建設・不動産、商社、そしてこれらに多額の融資を実行した金融機関などが彼の批判の対象だった。
 その頃、一地方銀行の支店長だった私は、銀行のバブル融資は無いと主張したのだが、首都圏、大都市での巨大銀行の融資実態を彼から聞かされ、彼同様の危機感を持ったことが思い起こされる。事態は、まさに彼が指摘していたような、日本に大きな負の遣産をもたらし、日本経済は現在も、これを引きずっている。
 徳ちゃんは、その後、明海大学教授に転身して時間的にも余裕ができ、沼津にしばしば帰郷するようになり、お互いに毎月、下手なゴルフを楽しむようになった。そんな彼が最も心を痛めていたのが沼津の疲弊ぶり。我々が青春時代を過ごした輝ける沼津の姿はなかった。
 英国の大学にも交換教授として滞在し、世界各地を回ってきた経歴から自分が生まれ育った沼津が、どんなに素晴らしい街かの思いを強めていた。標高三七七六㍍の富士山から深海二五〇〇㍍の駿河湾、標高差六千㍍以上にも及ぶ沼津地域は、世界的にも貴重な自然に恵まれ、農産物や海産物も豊かだ。
 その沼津の惨状を見るにつけ、なんとかしたいとの思いに駆られるようになる。建設省時代から公共事業の専門家として、沼津行き詰まりの根本原因はバブル期に計画された鉄道高架事業にあること、この事業から早く脱却し新生沼津への道を進むよう主張するに至った。
 その分析と研究の成果を基に、『地方都市再生の道をさぐる』という本を自費出版した。この本は、故郷沼津の再生を願う彼の思いが集約されたものだった。もちろん、彼にはその他の出版物、専門分野の論文なども多数あるのだが、一般向けとしては、彼の故郷沼津に対する思いが凝縮されたものだ。
 そのほか、彼は沼津と三島の歴史的経緯を踏まえ、両市の合併が県東部の発展につながるとして、「芙蓉市」構想も提言した。また、高校と建設省時代の後輩に当たる斎藤衛、櫻田光雄の両元市長に対して、二人が協力して沼津再生に当たるよう説得しても動こうとしないことを嘆いていた。
 このような大きな視野に立って様々な評論、講演を行い行動してきた彼の逝去が惜しまれてならない。沼津は貴重な人材を失った。建設行政に前半生を捧げ、後半生は故郷沼津の再建を誰よりも強く願い行動した人生だった。彼があと十年若かったら、ぜひ、市政のトップを務めさせたかった。
 そんな彼を悼み、何人 かの友人達と近いうちに「偲ぶ会」を開催したいと思っている。(下石田)
【沼朝平成28年4月7日(木)号寄稿文】
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