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第2章地方都市は脱却できるか

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第1章ー4

Q4「街づくり三法」の制定,中心市街地の活性化への道はどうするか?

A4

①「大規模小売店舗立地法」,「中心市街地活性化法」、

「改正都市計画法」の制定

1998年から2000年にかけて,地方都市の中心市街地の衰退,空洞化を何とかしようと,アメリカ企業の立地を進めたいアメリカの圧力に屈して,国際協調を進める,規制緩和を推進するとして,それまでの大型店舗の立地を規制する制度が整備改正されました。

大規模小売店舗立地法(大店立地法,スーパーなど大型店の出店を地元業者との調整を必要とする仕組みを改正),中心市街地活性化法,改正都市計画法(郊外への大型店の出店を都市計画法に基づいて市町村が規制する仕組み)の三つの仕組みを「街づくり3法」と総称して,この仕組みによって中心市街地の復権を進めようとしています。

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②ビジネスより生活に重点を置くー「新しい都市計画法」と「中心市街地活性化法」の改正一

確かに,制度は作られましたが,実際には,その後も中心市街地の空洞化がさらに進み,せっかくの仕組みが十分機能しなかったことから,今回,改めて,中心市街地活性化法と都市計画法の改正が行われたわけです。これまで,中心市街地の活性化の手段に,駅前商店街など商業施設の充実,ビジネスの振興に重点を置いていたのに対して,今回の改正では,都心の魅力を増すために,学校や病院,文化施設などの公共施設の中心市街地への立地などの総合的な取り組みを行うものとされています。

 

③大規模店舗の立地抑制一「都市計画法」の改正一

都市計画法の改正では,延べ面積1万平方メートル超の大型店の郊外への出店は,原則禁止になります。必要ならば市町村が都市計画を変更して誘致できる仕組みを導入し,また市町村による都市計画の決定変更に道府県知事が同意するに際しては関係する市町村から意見を聞くことなどして,市町村の自主性を尊重して,周辺地域への影響を考慮するなどの対策も考えているそうです。

 

④首相まで乗り出す中心市街地活性化対策一「中心市

街地活性化法」の改正一

さらに,中心市街地活性化法の改正では,首相を本部長にする中心市街地活性化本部を設置し,都市機能の集約を重視した街づくりの基本方針を作成し,これに沿って,市町村が基本計画を作成し,それを首相が認定し,国の財政支援や税制優遇措置などの手厚い支援を受けることができるようにするとあります。首相自ら乗り出す大げさな対策が講じられていますが,やる気のある自治体への手厚い国の支援があるとしても,経済原則に反する計画に実効性が上がるのか,中心市街地の住民の意欲のない退嬰的な経営姿勢の改善が進むのか,後継者難が解消されるかなどの本質的な対策は,まだ見えていません。

第1章ー3

 
Q3地方都市の衰退の実情と全国共通の問題か?
A3
①地方都市での中心市街地衰退は全国共通の問題
地方都市における中心市街地の衰退は全国で共通していますが,沼津市は特に深刻です。国土交通省が実施した「全国666都市に対するアンケート調査」を見ましょう。「中心市街地の活性化の要因と方策に関するアンケート調査」によると,中心市街地の衰退が大変深刻である都市が26.3%,深刻である都市が54.9%と実に80%を超える自治体が中心市街地の空洞化という深刻な事態に直面しています。特に,人口5万人から20万人の中都市では,27%の都市が大変深刻であるとされており,沼津市はその典型であるといえます。
 
②中心市街地の空洞化は全国8割の地方都市に拡大
これまで,人口減少が進んでいる都市での住宅の立地を見ると,全国平均で,主として郊外部に立地している都市が64.6%,人口5万から20万人の都市では,64.2%の都市と3分の2が郊外に立地しているとしています。大変人口が減少している都市では,69.6%の都市が郊外部へ立地しており,郊外部,中心部ともに住宅立地が進んでいない衰退のきわみにある都市が,24.2%もあります。
 
③進んだ住宅の郊外立地化へ
大変深刻である都市では,新設住宅の80%が主として郊外へ立地しています。特に問題のない都市では,バランスよく,郊外部,中心市街地ともに住宅が立地しています。公共機関が郊外へ転出した自治体では,とくに衰退が著しいようです。公立病院,市役所,公立学校などが郊外へ立地している自治体はどこでも,深刻な空洞化を招いており,沼津市も例外ではありません。沼津市では,市立病院,沼津東高校,沼津商業高校,歴史博物館等すべて郊外へ転出しています。特に病院が郊外移転した自治体では,大変深刻な事態になっている都市が,34.5%もあり,深刻な事態が62.1%と合わせると約97%が深刻な事態になっています。沼津市立病院の立地も同じです。あの北のはずれに立地したのは富士市との合併を考えて決めたのでしょうか。中心の市立病院が,最北の場所に立地しては,南の住民はクルマなしには病院へいけないし,バスの時間もコストも馬鹿になりません。
 
④買い物客も郊外スーパーが増加
日用品の買い物の場所は,地方の中核的な都市では,中心市街地の商店が2.3%,中心市街地の大型スーパーが20%,市民の4分の1しか中心市街地の店を利用していません。4分の3は郊外の大型スーパーの利用です。日用品以外の買い物の場所は,地方の中核的な都市では,中心市街地の商店は7.3%,中心市街地の大型スーパー,百貨店が41.6%,中心市街地での買い物は半分に満たないのです。沼津では,中心市街地の大型デパートが撤退でもすれば,まともな買い物はみんな東京へ行ってしまうかもしれません。
 
⑤都市計画の第1は都心回帰への期待
空洞化が進んだ都市の市民が住んでいる町の望むことは,中心市街地に公共施設が集まった便利な町にすること,中心市街地が徒歩,自転車で安心して買物ができる都市になること,中心市街地に多くの商店が集まって便利になることをあげており,都市計画では,第1に中心市街地の活性化を望んでいます。
 
⑥今後の街づくりの方向
今後の街づくりの方向として,大変深刻である都市では,既存の中心市街地に都市機能をコンパクトに集約して,郊外部への拡大を抑えることが62.8%と3分の2であり,特に問題のない都市の18%とは大きな格差が見えます。都市づくりへの市民の見方は,中心市街地の復権であります。問題は,どうしたらそうなるかです。鉄道高架化事業だけで,それを成し遂げることができるのだろうかということです。
 

第1章ー2

Q2地方都市の衰退は中心市街地の空洞化することか?
A2
①一人当り,米1石の昔の人口ー人口4,000万人,米生産は4,000万石一
少し長く,明治中期の1880年代から昭和の終期の1980年代までの20世紀,100年間における日本の国土構造の変化を見てみましょう。1900年,20世紀の初頭の日本の人口は4,000万人足らずでした。米の生産も4,000万石,一人1石の計算で4,000万人の人口が生活していました。それが,100年後の2005年に日本の人口は約1億2,700万人と3.2倍に膨張し,年率1%を超える人口の増加が続いて,世界第10位の人口大国になりました。100年前の全国の人口分布は,東京府,大阪府,京都府の3府を除くと,各県人口はその県の生産力,米の生産に依存したものであり,人口は県別に大きな格差はありませんでした。
 
②100年前の人口は新潟県が一番,東京は二番であった
1880年代に日本で一番人口が多かった県は,実は新潟県でした。
上位10位は,一番が新潟県,2番が東京府,3番が大阪府であり,兵庫県,愛知県,広島県,福岡県,長野県,千葉県,岡山県と続いていました。本土では最大の新潟県が167万人と最小の宮崎県が41万人との格差は,4倍程度であり,道府県の人口配分は米の生産量に応じて均衡していていたのです。それから100年後の2000年には,東京都は1,180万人と7.6倍に拡大しているのに対して,鳥取県では69万人から62万人と0.9倍に減少しており,最大の東京都と最小の鳥取県では20倍の格差が生じてしまっています。そして,都道府県間に大きな格差が生まれてしまったのです。
 
③100年後は東京圏が一人勝ちになる
2000年に上位10県は,1番東京都,2番大阪府,3番神奈川県,以下愛知県,北海道,兵庫県,埼玉県,千葉県,福岡県,静岡県と続き,東京圏,大阪圏の上位展開とは反対に,広島県,長野県,岡山県は10位から脱落し,1番だった新潟県ですら10位からも脱落し,その地方圏では人口は,ほとんど増えていないのです。東海道の中央に位置し,立地条件に恵まれた静岡県が10位に顔を出しています。人口密度を見ても,1平方キロメートル当たりの人口は,全国平均では,東京都を除く全国で101人から290人の2.9倍に対して,東京都は727人から5,471人と7.5倍に膨張し,1900年の7.2倍の差から2000年には19倍の差にまで広がり,大都市圏への集中が激化して,大都市の東京と地方都市の間に大きな格差が生まれてしまっています。
 
④東京23区の一人勝ち一大都市圏の拡大と地方都市の衰退は歴史の流れ一
県庁所在地の中心都市を比較しても,100年間で旧東京市(東京23区部)では,100万人から1200万人と12倍に拡大しており,大阪市,札幌市,名古屋市,京都市,広島市,福岡市などの地方中核都市も数倍に増加しているのに比べて,その他の県庁所在地の都市には,やはり,目立った増加は見えていません。100年間,地方圏は人口を放出し,大都市圏が吸収する関係が続いて,100年間で地域格差はきわめて大きくなっているのです。大都市圏の拡大と地方都市の衰退は,長期の歴史的な流れなのです。
 
⑤2005年の国勢調査では人口の転換期
ごく最近の2005年の国勢調査を見ると,この5年間に東京圏を除くすべての地域での人口が減少しています。20世紀100年間の人口動態では,約4,000千万人から約1億2,700万人へ,3.2倍の増加をしましたが,20世紀後半の時代,特に都市化が進展,加速し,大都市圏への人口の激しい集中が進み,過疎過密問題が惹起されました。しかし,それも21世紀初頭で終わり,2005年は,人口構造の転換時点であり,先行き人口の減少が現実化していくことが実感されています。
 
⑥現実化する少子高齢化社会への流れ
先行きの人口予測では,2050年には,1億2,700万人から1億人へ約3,000万人の減少,人口構成は,65歳以上の高齢者が3人に一人,75歳以上の高齢者は5人に一人に増加する,まさに少子高齢化社会が現実化すると見込まれています。20世紀,3.2倍に増えた人口が逆に21世紀半ばには,0.8倍に減少するということになります。世帯数も2015年がピークで,2025年には,4964万世帯になりますが,単身高齢者世帯が増加して,2030年に東京圏ではほぼ2倍に,地方圏では1.5倍に増加すると予測されています。
地域別の先行きの人口で見れば,東京圏のみが3300万人程度で人口が横ばいで維持されるのに対して,その他に地域は大きく減少していきます。東京圏の一人勝ちです。故郷,沼津市の人口も17,8万人に減少するのは必至なのです。
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⑦経済も東京圏一極集中の傾向へ
経済機能を中心とする都市機能は,大都市,とりわけ東京圏へ集中して,一極集中がいっそう進みそうです。同じ大都市圏でも,大阪圏も,名古屋圏の人口は減少し,過疎過密の解消,地域の均衡ある発展という掛け声は,全国700都市の実態を見ると掛け声倒れに終わりそうです。中心市街地の衰退,空洞化,経済活動の停滞の動きは,なによりもマイカー時代が到来し,さらに地価高騰の中で人口が郊外へ流出して,便利な郊外生活を選択したためです。大型スーパー,大病院,学校等の公共公益施設が郊外に立地し,中心市街地の機能は年々低下していっています。大都市の東京圏でも同じ,東京の中心は,かつては下町でしたが,年々郊外化が進んで,現在の東京の中心地は,昔の郊外地,山の手の世田谷,杉並,三多摩に移っています。中心市街地の衰退は,東京でもあったのです。
 
⑧リゾートもデズニーランドの一人勝ち
交通・通信手段の発展,つまりマイカーや新幹線が普及したことで,日本中が一つの地域のなってしまっています。誰でも自由にどこにでも行ければ,一番いいところに行きたいと思うのは当然です。都市施設は,一点集中,一点豪華主義になり,リゾートでも年間1,000万人も集客できる東京デズニーランドの一人勝になっています。リゾート開発ブームに乗った北海道のトマム,九州のシーガイア,ハウステンボスも競争に負けてしまい負債の山を作りました。
 
⑨沼津のお母さんも買い物を車京へ向う
沼津の町も,お母さんたちの大きな買い物は東京へ向かいます。商店街は魅力を失い,昼間から人通りは少なく、店は夕方には早々と閉まってしまう。街中から大型店舗も,有名レストランも撤退してしまっているのです。
 
⑩増える財政破綻の地方自治体
人口減少,高齢化,経済の低迷の中で地方都市の経済,財政が悪化しており,先行き財政困難はさらに進むでしょう。無謀な投資を進めた結果の財政破綻は,マスコミ等で話題の北海道の夕張市だけではありません。悲惨な財政事情で,中央では地方の自立を進めるために,三位一体の改革が進んでいますが,いまだに地方自治体の「中央頼み」,「箱もの頼み」,「リゾート頼み」の姿勢は変わらないようです。まだ公共事業で再生を図ろうとする動きは崩れていないようです。財政悪化の中で,三位一体の改革がどう進むのか,地方都市が自立できるのか,そして民主主義地方自治が機能するのか,今それが問われています。
 

地方都市再生の道・1章ー1

「地方都市再生の道」長谷川徳之輔 著
 
第1章「衰退する地方都市をいかにして再生させるか?」
Q1人口減少,少子高齢化時代の都市問題とは?
A1
①安倍首相の「美しい国」とは何か?
今年は,2007年,平成も19年で,昭和も,20世紀も過ぎ去り,21世紀の流れが定着する時期です。ようやく15年も続いたバブル経済崩壊の後遺症を脱したといわれますが,一般国民の多くは景気が回復したという感じはなく,経済社会の先行きへの不安感不透明感は,なお消えていません。政治では,52歳,戦後生まれの安倍首相が誕生し,「美しい日本にしよう」と先行きの日本のあり方を唱えますが,「美しい日本」とは一体,何か,改めて,次の世代にとっての21世紀論,未来論が必要になっています。
 
②人口,賑わいに大きな偏り一都市も「勝ち組」と「負け組」が出現一
20世紀の高度経済成長が終焉して,確かに日本は,世界第2位の経済大国になりましたが,同時に高度経済成長,都市化時代の負の遺産が目立つようにもなりました。IT長者がわが世の春を謳歌している一方,フリーターやニートなどの若者も増え,貧富の差が見えて,人生の「勝ち組」,「負け組」といわれる各種の格差が拡大しています。特に国土構造では,大都市の東京と地方都市の格差が広がっています。20世紀,100年の人口の増加と移動の結果,大都市の繁栄と地方都市の衰退という二極化が顕著になり,人口,賑わいは大都市圏に偏在して,いま,大都市の繁栄,一人勝ちの様子を見せており, その分,地方都市は,深刻な衰退,空洞化に見舞われています。
 
③東京の渋谷街に溢れる地方の若者達
例えば,渋谷の町には,朝から夜中まで若者達で溢れています。その若者たち,東京の若者だけではなく,宇都宮,水戸,甲府,沼津など地方都市から集まってきた若者たちです。彼らが新しい都会の風俗を作っていますが,他方,若者に去られた地方都市の衰退が日に日に進んでいきます。人通りの絶えた中心市街地の空洞化で若者の姿は見られず,お母さんたちも地元では気に入ったものが見つからないと買い物はわざわざ東京へ向かうようです。
地方都市には,商店街では昼間から店を閉めてしまう閑散とした「シャッター街」が広がっています。
 
④二極化は歴史の必然か一都市構造が大きく変った一
なぜ,そうなったのでしょうか。それは,基本的には,100年の人口の動きと50年の大都市集中がもたらしたものです。新幹線高速道路,電話,テレビなど交通通信革命が進んで,100年前には,一月かけて旅行した日本が全国どこへでも,僅か2時間で結ばれる国土構造になっています。全国で同じ新聞,同じテレビを同時に楽しめます。20世紀後半の都市化の時代に,地価の高騰や土地利用計画の欠落など土地問題の立ち遅れから,住宅は郊外へ転出し,交通は自動車の普及で,一億総マイカー時代を生み,機能的,快適な郊外生活が選択されました。大型店舗など商業流通機能も郊外へ,病院や学校まで郊外へと都市機能が分散し,立地していきました。中心市街地から人口は便利な周辺へ逃げ出す中で,いつの間にか,地方都市の都市構造は大きく変わってしまいました。

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