忍者ブログ

資料ぶろぐ

まちづくりの著書や資料
MENU

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

徳之輔エッセイ:日本と中国、外国をどういう文字で表現するか

日本と中国、外国をどういう文字で表現するか


  このところ、歴史問題を中心に日本と中国の関係がギクシャクしている。「同文同種、同族同州」とか言われる同じ文化、文明を共有すると思われる二つの国の間には、経済、通商のように合理的に解決できる問題ばかりでなく、簡単に片づけられない心情的、政治的に相克する文化、歴史の問題が横たわっている。尖閣列島をめぐる領土、領海争いにも、それが顕著に表れている。黄帝以来4千年の歴史を持つ中国は、中華思想を根底にする覇権国家であり、黄河流域の中原に統一国家が成立して以来、まさに中華、文明国として天下、世界の中心だと自負し、周囲からもそう意識されてきた。周辺諸国は、東夷、北秋、南蛮、西戌と禽獣の名で侮蔑される非文明国で、中華の下にある属国、朝貢国であったのだ。東の夷と言われる日本が国家として成立したのは、たかだか千3百年前の7世紀のこと、中国では、階、唐の世で、文化練乱の時代であった。確かに日本の文字、芸術、宗教などの文化、政治体制はすべて中国からの輸入品であり、長い間に換骨奪胎して、独自の文明を作り上げたというが、漢籍、漢語は、日本人の政治、文化、学術の基礎であり、誰もが孔子、孟子を学び、李白、杜甫を唄い、中華文化を畏敬してきた。

 日本、中国が国際化の波にさらされたのは、19世紀半ば、欧州諸国の帝国主義の膨張によってであり、砲艦外交で中華主義、鎖国体制が失われ、欧米流の国際社会に組み入れられた時である。ただ、欧米の帝国主義の圧力の中で国際化をどう進すめたかが、その後の中国と日本の格差をもたらしたのである。日本は1868年に明治維新により開国し、近代化に踏み切った。中華思想を背景に近代化、国際化が遅れる中国を反面教師にして、鎖国から開国に向かい、富国強兵の道を歩み、脱亜入欧を図り、20世紀前半には経済的テイクオフを遂げることができた。他方、中国の近代は苦難の歴史である。1840年のアヘン戦争以来百数十年、中国は欧米帝国主義の圧力で、アロー号事件、清仏戦争、日清戦争、義和団事件、英国の香港、ロシアの遼東半島、ドイツの青島などの植民地の争奪や国内の軍閥の割拠、内戦など外憂内患の苦しみを味わってきた。20世紀後半、やっと中華人民共和国が成立した後でも、朝鮮戦争、中ソ対立、毛沢東の大躍進の失敗、文化大革命の混乱が続き、共産主義の崩壊の後に、天安門事件を経てやっと今の状況に達する。近代化に道に実に200年余りを要したことになる。中国の人たちは、この200年の苦難の歩みの後、今、苦難の連続だった国力、経済も日本を追い越して、やっと世界第2位の経済大国になったと、中華の自信を取り戻しているのではないのだろうか。日本への見方も、東夷として見下していた後輩国に立ち遅れ、経済的、国際的に後塵を拝していたときの劣等感、敗北感を脱して、ようやく優越感を回復する時代になったという気持ちがあるのだろう。良かれ悪しかれ中華意識の復権である。だから、余計に歴史問題を持ち出すのかもしれない。

 中華思想から中国が国際社会を見る目は、周辺の外国を東夷、北秋、南蛮、西戌と禽獣の名を使っていたように、各国を歴史的にどのような文字で表現したかでも理解できる。日本は、魏志倭人伝で言われるように東の夷の倭国であった。北の秋の国は勾奴、鮮卑、女真などで奴の国、西の戌の国チベットは吐蛮、南の蛮の国インドは身毒と表現されていた。いずれも国家として誉めた文字ではなく、非文明の国だと貶めた文字である。しかし、微妙な中華意識も垣間見られる、欧米諸国の呼称には、別の表現がある。イギリスは英国、アメリカは美国、フランスは法国、ドイツは徳国、イタリアは義国であり、この言葉、文字にも、欧米文化への畏怖、畏敬の念が感じられる。日本は倭国で、禽獣ではなく、まだ人偏の文字であるだけ準文明国視されていたのかもしれない。同じ欧米諸国でも、ロシアは、日本と同じ人偏の文字の俄国と表現されるようだが、中国から見れば、ロシアは文明が遅れた野蛮な北秋の国と考えたのであろう。歴史問題は実に複雑であり、一筋縄ではいきそうもない。しかし、文字、言葉によって、理解できることにも、同文同種の文化を共有しているということは否定できまい。
(長谷川徳之輔エッセイ)
PR

時と度量衡、尖閣、竹島に思う文明の相克:徳之輔エッセイ

時と度量衡、尖閣、竹島に思う文明の相克。


 尖閣、竹島の話、日本人にとって、突然の騒ぎであり、そのあまりにも激しい中国、韓国の反日の動きに驚きを禁じざるを得ない。中国、韓国の動きには、国際的、国内的な政治情勢や微妙な対日国民感情がその背景にあるのだろうが、この問題には、国家としての政治的、軍事的、経済的なパワーの問題だけではなく、民族、文化、文明としての作られた歴史意識、民族意識が微妙に顕在化しているのだと思う。今の騒動も、一時の感情的なナショナリズム、その反発の解消ではなく、日本・中国・韓国に共通する長い歴史、文化、文明の儒教社会での、孔子の教え、論語により世界で一番成熟した文明の大人の精神、文明の発露として相互理解の解決が図られて欲しいものである。私も、個人的な経験も含めて、中国、韓国、日本の関係を冷静に、適切に、客観的に調べ、勉強して、相互の考え、見方をしっかり理解したいと思う。そこで、私が出会った個人的な話をしたい。

 もう10数年昔のことだ、韓国のソウル大学で日本と韓国の都市計画を専門とする学者の研究会、勉強会があって、議論に参加したことがあった。韓国の学者たち、実に立派な紳士で、学問的な造詣にも深く、日本語も堪能な親日的な人物だった。みなさん、尊敬できる人柄で、東京大学の都市計画の教室に留学か滞在して、日本・韓国の都市計画を研究した自負心を持っている学者たちであった。その講義の一つにソウルの都市計画、区画整理の話、その成果が語られた。私の理解では、ソウルで区画整理を実施したのは、韓国がまだ、日本統治の時代であり、当然に区画整理も日本の制度、システムに従って行われたものと理解していた。それは、それでいいのだが、微妙な民族意識を招いてしまったようだ。講師の先生が、何かご質問をと言われたので、資料の土地の面積の単位に「坪」という単位が表示されていたことから、つい、面積の単位がハングルでないのは、日本時代の計量単位の「坪」を使っておられるからかと、無神経な質問してしまった。

 ところが、講師の紳士が突然、激昂してしまったのに驚かされた。「長谷川先生、貴方が間違っていますと大声で説明を始めた、日本の単位、坪が韓国、朝鮮から日本に伝達されたもので、韓国の坪が日本から伝えられたものではありません。誤解されないようにという指摘だった、その単位、日本では「坪」を京間とか江戸間とかに変形して使ってしまったのだ、そもそも、韓国の単位も中国からのもので、坪は韓国では「ピョン」、中国では「ピン」というのであり、その原単位は、中国の秦の始皇帝から始まっている、始皇帝の背丈が1間として、それから長さ、広さの単位が決まったのだという説明で、日本の坪は、中国の単位が朝鮮を経由して日本に伝わったもので、時や度量衡を見ても、日本の文明は中国の伯父、朝鮮の叔父の配下にある甥であるという説明だった。

 さらに、長谷川さん、帝の帝たる由縁をご存知ですかと畳み込まれた。知りませんというと、彼はこう説明してくれた。帝の帝たる由縁は、時と度量衡を制するにあるという。儒教の国の時と度量衡はすべからく、中国の孔子の教えにあるというのだ、儒教の国では、中国の皇帝が決める時が、時の基準であったので、国際的にも、時は中国の時を使い、日本の帝は自分の国でしか使えない年号、明治とか昭和とかを決めているだけで、その時に国際的な普遍性はなく、帝とは言えないということである。

 確かにそうだ、北京の明清帝国の牙城の紫禁城の広場には、時を示す日時計と度量を示す升形のモニュメントが飾られている。この二つの器が明清の帝の力を示しているのだろう。地球の大きさをべ一スにするメートル法も皇帝ナポレオンが文明の象徴として決めたもので、世界の標準になり、メートル原器はフランスある。経度・緯度は、イギリスのグリニッチ天文台がゼロ度で、地理的にも世界の中心である。最大の時の基準は、キリストの生誕を基本とする西暦であり、今年が西暦2012年であることに、国際的に誰も異存をつけようがない、日本、台湾やイスラムで、それぞれの時を決めているが、それは自国の建前の暦で、国際的には、ほとんど機能していないだろう。確かに、世界の文明は、いまだに、度量衡を定めた中国の極楷からも、19世紀の欧州文明が決めた時や原単位から脱することはできない、日本は、その文明の最末端にあると思われても仕方がないが、我々には、日本が世界の文明の標準になったという自負心があるのも否定できない。その微妙な、民族意識、自負心が、今回の騒動の根っこにあると思うのは考え過ぎだろうか。
(長谷川徳之輔エッセイ)

× CLOSE

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

フリーエリア

最新CM

[07/21 真実勇蔵]

最新TB

プロフィール

HN:
資料ぶろぐ
性別:
非公開
自己紹介:
沼津を愛し、再生を願うものです。

バーコード

ブログ内検索

× CLOSE

Copyright © 資料ぶろぐ : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]