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時と度量衡、尖閣、竹島に思う文明の相克:徳之輔エッセイ

時と度量衡、尖閣、竹島に思う文明の相克。


 尖閣、竹島の話、日本人にとって、突然の騒ぎであり、そのあまりにも激しい中国、韓国の反日の動きに驚きを禁じざるを得ない。中国、韓国の動きには、国際的、国内的な政治情勢や微妙な対日国民感情がその背景にあるのだろうが、この問題には、国家としての政治的、軍事的、経済的なパワーの問題だけではなく、民族、文化、文明としての作られた歴史意識、民族意識が微妙に顕在化しているのだと思う。今の騒動も、一時の感情的なナショナリズム、その反発の解消ではなく、日本・中国・韓国に共通する長い歴史、文化、文明の儒教社会での、孔子の教え、論語により世界で一番成熟した文明の大人の精神、文明の発露として相互理解の解決が図られて欲しいものである。私も、個人的な経験も含めて、中国、韓国、日本の関係を冷静に、適切に、客観的に調べ、勉強して、相互の考え、見方をしっかり理解したいと思う。そこで、私が出会った個人的な話をしたい。

 もう10数年昔のことだ、韓国のソウル大学で日本と韓国の都市計画を専門とする学者の研究会、勉強会があって、議論に参加したことがあった。韓国の学者たち、実に立派な紳士で、学問的な造詣にも深く、日本語も堪能な親日的な人物だった。みなさん、尊敬できる人柄で、東京大学の都市計画の教室に留学か滞在して、日本・韓国の都市計画を研究した自負心を持っている学者たちであった。その講義の一つにソウルの都市計画、区画整理の話、その成果が語られた。私の理解では、ソウルで区画整理を実施したのは、韓国がまだ、日本統治の時代であり、当然に区画整理も日本の制度、システムに従って行われたものと理解していた。それは、それでいいのだが、微妙な民族意識を招いてしまったようだ。講師の先生が、何かご質問をと言われたので、資料の土地の面積の単位に「坪」という単位が表示されていたことから、つい、面積の単位がハングルでないのは、日本時代の計量単位の「坪」を使っておられるからかと、無神経な質問してしまった。

 ところが、講師の紳士が突然、激昂してしまったのに驚かされた。「長谷川先生、貴方が間違っていますと大声で説明を始めた、日本の単位、坪が韓国、朝鮮から日本に伝達されたもので、韓国の坪が日本から伝えられたものではありません。誤解されないようにという指摘だった、その単位、日本では「坪」を京間とか江戸間とかに変形して使ってしまったのだ、そもそも、韓国の単位も中国からのもので、坪は韓国では「ピョン」、中国では「ピン」というのであり、その原単位は、中国の秦の始皇帝から始まっている、始皇帝の背丈が1間として、それから長さ、広さの単位が決まったのだという説明で、日本の坪は、中国の単位が朝鮮を経由して日本に伝わったもので、時や度量衡を見ても、日本の文明は中国の伯父、朝鮮の叔父の配下にある甥であるという説明だった。

 さらに、長谷川さん、帝の帝たる由縁をご存知ですかと畳み込まれた。知りませんというと、彼はこう説明してくれた。帝の帝たる由縁は、時と度量衡を制するにあるという。儒教の国の時と度量衡はすべからく、中国の孔子の教えにあるというのだ、儒教の国では、中国の皇帝が決める時が、時の基準であったので、国際的にも、時は中国の時を使い、日本の帝は自分の国でしか使えない年号、明治とか昭和とかを決めているだけで、その時に国際的な普遍性はなく、帝とは言えないということである。

 確かにそうだ、北京の明清帝国の牙城の紫禁城の広場には、時を示す日時計と度量を示す升形のモニュメントが飾られている。この二つの器が明清の帝の力を示しているのだろう。地球の大きさをべ一スにするメートル法も皇帝ナポレオンが文明の象徴として決めたもので、世界の標準になり、メートル原器はフランスある。経度・緯度は、イギリスのグリニッチ天文台がゼロ度で、地理的にも世界の中心である。最大の時の基準は、キリストの生誕を基本とする西暦であり、今年が西暦2012年であることに、国際的に誰も異存をつけようがない、日本、台湾やイスラムで、それぞれの時を決めているが、それは自国の建前の暦で、国際的には、ほとんど機能していないだろう。確かに、世界の文明は、いまだに、度量衡を定めた中国の極楷からも、19世紀の欧州文明が決めた時や原単位から脱することはできない、日本は、その文明の最末端にあると思われても仕方がないが、我々には、日本が世界の文明の標準になったという自負心があるのも否定できない。その微妙な、民族意識、自負心が、今回の騒動の根っこにあると思うのは考え過ぎだろうか。
(長谷川徳之輔エッセイ)
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