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故郷沼津への誇りと自信を取り戻そう

2014.6.29

                     明海大学名誉教授  長谷川 徳之輔

鉄道高架を超えて、故郷沼津への誇りと自信を取り戻そう

1 聴くに忍びない沼津の衰退、落日ぶり

 かって、沼津の地は知名度の高い東海道の雄都、自然環境に恵まれ、農工商住・教育文化にバランスの取れ、誰からもがいい街だと評価されていた町であった、それが今、人口は減少、経済は低迷し、三島の郊外の名のない衰退した地方都市のイメージの街だと思われている。静岡県の3都市、浜松、静岡、沼津は、遠江、駿河、伊豆の3国の地にあり、市民性、気質の違いから、世評では、犯罪者に例えるなら、浜松は強盗、静岡は詐欺、沼津は乞食だと、浜松のパワー、静岡の知性に比べて沼津は何事にも他人頼りの消極的な街だと揶揄されてもいるようだ。残念ながら合併も刷新も進まない、沼津の立ち遅れ、退嬰的な市民性、何事にも2番煎じ、3番煎じ、鉄道高架も浜松、静岡の次が沼津の番という言う負け犬根性から始まったのかもしれない。

 このような沼津への市民の嘆き、落胆の声が聞こえるが、何時までも市民意識を分断している鉄道高架に拘泥しているのではなく、沼津の再生のために、もっとほかの道を探るべきであり、どうしたら沼津市民の故郷、沼津への誇りと自信を取り戻すことができるのか、岡目八目かもしれないが、元沼津人として考えてみよう。

面積   人口    人口密度     東京から  運賃 

浜松     1558㎢    80万人   513人/㎢    120分   7770円 

静岡     1412㎢    72万人   506人/㎢    90分   5800円

沼津      187㎢    20万人  1070人/㎢    60分   4000円

周辺5市町   350㎢    43万人  1214人/㎢    60分   4000円

沼津の人口は減少し、都市機能が周辺へ拡大しても、周辺5市町で観ば、なお成長の過程にある。沼津、三島、長泉、清水、函南の5市町は、市街地が連担し、地理的にも、経済社会的にも、生活圏でも、一体とした街であり、一体として機能すれば悠々浜松、静岡を凌駕する自治体であるが、行政区分の分断と市民意識の立ち遅れが、地域の成長を阻んでいる。現実には、新幹線三島駅を中心に、東駿河湾環状道路が、この地域の一体性を形成しており、東海圏より、東京圏、首都圏との一体化、西の拠点としての機能が強い地域である。交通では、東京へは浜松に比べて、時間半分、交通費半分の日常生活圏であり、新幹線通勤圏がいっそう強まる。

2  沼津と三島、双子都市、姉妹都市でも微妙な格差意識

 沼津は駿河の国の辺境の地、三島は伊豆の国の国府、府中であり、別の国、国堺は清水町の境川、天領と小藩、国府と辺境、直参と陪臣、大社と神社、微妙な格差が生んだ地域意識がある。交通が生んだ格差の転変、明治22年の東海道線開業、沼津を交通の拠点、沼津機関区、お召列車の停車する1等駅、最高のリゾートとしての沼津御用邸の権威、沼津中学の教育が沼津の中心性を作り、伊豆駿河の生活、経済の拠点都市の成長へ向かい、他方、三島は鉄道から見放され、宿場町を転落、昭和8年丹奈トンネルが開通し、富士山を形どった新駅が生まれるが、沼津に追いつかず。ずっと従属的だった、沼津へ通勤し、通学するという格差が三島人の自負心を痛めていた。

 昭和39年東海道新幹線の開業で事態は逆転する、三島に駅が作られ、沼津を通過する、沼津機関区は廃止され、交通の拠点性を失い、駿河湾の環境悪化で沼津御用邸は下田に転出し、沼津中学、沼津東高は、学区制からも伊豆駿河の中心性を失う、交通、権威、教育、文化の機能が薄れ、教育、医療、商業、文化の都市機能は次第に駅北方面、愛鷹方面、周辺都市に移り、マイカー、車社会の到来で中心市街地は繁栄を喪失し、沈滞化して、人口は減少、若年層は周辺へ向かっていく。工業機能は減少し、経済商業活動も停滞し、シャッター街が日常化して、中心市街地の衰退がますます強まっている。古き沼津への誇りと自信が失われていく。しかし、周辺5市町を単位にすれば、この地域はなお人口は増加し、成長の過程にあり、医療、教育、文化、工業などの都市機能の分散、分担が進んでいる、沼津は衰退したのではなく、都市の成長に伴い、その機能を周辺に分散、拡大しているとみることも出来よう。

3 5市町一体的な都市、海山川の自然、最高の景観、スイタリアとも言える街

 愛鷹山からも、箱根山からも、香貫山からも、この都市を見下ろした時、日本一、いや世界一の自然環境・都市環境に恵まれた街の姿が一望できる。牛臥山の小さな丘陵から伊豆の山々、箱根山連山、愛鷹山につらなる山稜が一望され、平野に清流の狩野川が北流して、駿河湾に注ぐ、市街地の向こうには群青の駿河湾が広がる、そして、その背後に富士山の雄姿がそびえ立っている、最大のインフラの2本の高速道路と新幹線が北の丘陵を走っている。

 高さ3776メートルの富士山から深さ2500メートル余りの駿河湾まで、高低差6000メートルの自然が一目で展望できるのだ、6000メートルの高低差の生む四季の自然、食材の豊かさ、山海のグルメ、山登り、スキーからヨット、ダイビングまで、この地域で一挙一刻に手にできる。このような豊かな自然に恵まれた地域は、日本はおろか世界にもなかろう、スイスはアルプスの山だけ、イタリアナポリは地中海の海だけだ、この地は6000メートルの高低差のある自然が目の前にあるのだ、言ってみれば、この地域は最高のリゾート地、スイスもイタリアの合わせたスイタリアとも言ってよかろう。この地域にスイタリアの評価を定着させたいものだ。

4 沼津アルプスと沼津リビエラ、皇室御愛用の景勝地なのだ。

 先日のニュース、皇孫妃の愛子さまが駿河湾の海を称賛されていた、皇太子さまは、沼津アルプスを縦走されたということである、いや散策されたのかもしれないが、皇室の親子がそろって沼津の自然を愉しまれて、称賛されたとのこと、沼津の海山川の自然が、皇室御愛用の地と評価されたと見てよかろう。お二人が愉しまれた沼津アルプス、沼津リビエラの方がバラバラに集めた沼津百景よりずっとインパクトが強かろう。沼津御用邸の威光はまだ残っている。海には名称がないが、沼津アルプスに合わせて、とりあえず沼津リビエラ海岸とでもしておこう。

 沼津のイメージづくりに、皇室の権威に便乗する折角の好機である、沼津アルプス、沼津リビエラに関する興味深く洒落た情報を、グルメや温泉案内も含めて、地図、写真、映画、パンフ、観光案内などにして旅行社、マスコミ、商工会議所、外国大使館など広く世の中に知らせることにしたらどうだろうか。海の日に加えて山の日も、国民の祝日になっている、東京の高尾山は外国観光客に超有名な名所だそうだ、うまく演出すれば、この地はグルメも温泉も愉しめる東京近郊の一日周遊圏として、山の沼津アルプスも海の沼津リビエラも超、超有名な名所になれるかもしれない。

5 芙蓉市、ふよう市、FUYOU・CITYの奨め

 あらゆる意味で一体的なこの地域が、何故合併も一体化もしないのか、残念ながら、この地域には、その気運に乏しく、地域の小事の利害に拘泥し、リーダーシップの欠落から、この地域の市民生活や経済社会活動に対応する地方自治体が形成されていない。政令指定都市になった浜松、静岡との地域格差は、ますます拡大している。たとえ5つの市町が合併して、単独の都市になったとしても、合併後の自治体の名称をどうするのか、沼津市にしろ、三島市にしろ、そう簡単に合意されないし、伊豆市にしても駿河市にしても、歴史的な利害は収まらない。伊豆市も、富士市も、既に存在している。一体化へは、地域住民に一体感をもたらす新しい地名を市民が一体となった論議することから始めたらいい。

 この地域にふさわしい名称は何をさておいても、富士山をイメージするものだが、富士山には富士市も、富士宮市もあり、富士は使えない。しかし、富士山には、不二とか別名があり、古来からの名称に「芙蓉」という表現がある。芙蓉とは楊貴妃の美しさを連想させる蓮の花の一種で、何故富士山を芙蓉の峰というのか、神秘的で美しい山、峰ということから言われたらしい。芙蓉こそこの地域にふさわしい名称であり、両市民から共通の評価を受けられよう。新しい都市の名称は、「芙蓉市、ふよう市、FUYOU CITY」としたらどうなのか。こんな地名を話題にして、この地域の将来を市民に語ってもらいたいものである。その前に、もっと簡単な一体化の方策もある、新幹線の駅名を三島沼津駅に、東名高速道路の沼津インターを沼津三島インターに、新東名の長泉沼津インターを東駿河湾インターに改称してみることも考えたらいい。

6 沼津駅周辺鉄道高架事業の終焉への川勝知事、栗原市長のリーダーシップこそ

 大きいことはいいことだという高度経済成長時代に計画された、2000億円の費用、20年の歳月を要する箱もの公共事業の沼津駅周辺鉄道高架事業、20年余りも棚ざらしであり、その費用を沼津市民が負担しても、作られる施設は高架橋梁、貨物駅、操車場とJRの施設ばかり、今の時期、市民にはその恩恵が何もない箱もの事業を、沼津の再生のためだとの大義名分で、未来のためにやるべき事業だ、経済財政事情から実現できる事業だと、ほんとに心から思っている人は、恐らく誰もいないであろう、いたとしたら、よほどの理解力欠けた馬鹿者だし、そう思っていないのに立場上でそういうならいかさまペテン師、詐欺師の類と思われても仕方がなかろう。沼津駅周辺鉄道高架は、イソップ物語に言う裸の王様である。誰かが王様は裸だと言えば、それで終わりなのだ。

 今こそ、市民の間にいらぬ不協和音を招き、20数年も続いてきた鉄道高架事業の無責任、無意味な論議の収束を図る時である。この時にこそ、事業に利害損得のない地域のリーダーの政治的力量が発揮されてしかるべきであろう。後始末をさせられるだけの立場の川勝知事と栗原市長は、その責任を互いに転嫁し合うのではなく、相互に話し合い、如何に結論したら県民、市民の利益になるのかの方策を二人の意見として表明すべきではないのか。

 川勝知事には、時代の変革の元で、経済財政事情から地方自治体の置かれている現状、施策の方向を語り、栗原市長には、東部地区の一体化、街づくりの方向への道筋を語り、その中で、懸案の沼津駅周辺鉄道高架事業をどう見直していくのか、知事、市長がそろって、政治、行政としての方向を県民、市民に説明し、明示して欲しいものである。確かに、国、県、市の間の損得利害の調整、失われた財政損失の処理、行政当局の責任など解決には様々な問題が山積していると思われるが、もはや無責任に先伸ばしを続けて、解決を回避することはできまい。沼津市民も只他人事として傍観するのではなく、自らの問題として、その解決に意を払うべきであり、市議会でも逃げずにしっかり議論してしかるべきである。それが行政、政治の責任である。今こそ、沼津市の市民意識、民主主義、地方自治の在り方が強く問われる時である。


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