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前国立市長の上原公子さんが講演

「住民は地方自治に関心を」
前国立市長の上原公子さんが講演
自身の施策などについて説明
議会傍聴、対話、顔が見える市政
 市民学習グループ波の会は、特別学習会を市民文化センターで開き、東京都国立市の市長を二期務め、今年三月に退任した上原公子さんの「生活者の視線での市政とは?市長としてやってきたこと、できなかったこと」を聞いた。七十人を超える市民が聴講し、上原さんが市長時代に取り組んだ建物の高さを規制する景観条例の制定や、有事関連三法に反対する意見書などの政府への提出、住基ネットの切断、教育委員の全国公募、空き店舗活用など、在任中の実践例の説明に耳を傾けた。
 上原さんは、住民は身近な自治体に関心を持つことが重要だとし、「地方自治に住民が取り組んでいれば、おかしな政治はできない。政治にとって、住民が責任を持てなければ、いい政治にはならない」と話し始めた。福祉面では「しょうがい者があたり前に暮らすまち宣言」を行い、国の施策で悪化した障害者対策を支援するため国立市は独自に年間一億三千万円を支出。人口七万三千人の同市にとっては負担となったが、「地方主権、基本的人権を守るためには、どのような施策をしたらよいのか」と問い掛けた。
 住基ネットについては、紙情報とインターネット情報は全く違うものだとし、「この情報の違いが分からない政府に任せる訳にはいかない。情報が流出したら自治体が責任を取ることになる」として、市民の個人情報とプライバシーを守る行政の責任から切断した経緯を説明した。
 また有事関連三法への反対、イラク派兵抗議などの意見書を政府に提出した件については、「国が公共の福祉を乱用してはならない」とし、憲法の前文を読み上げ、「政府が施策を誤った時、主権者である国民が正さなければならない」と主張。
 後期高齢者医療制度については「年を取ることが苦しいことになる。おかしいことに対しては『おかしい』と声を上げることだ」と、憲法第二五条「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことなどを挙げながら話した。
 上原さんの市長在任中は反対派が多数を占める議会で、予算案が否決されるなど苦境に立たされる市長を、その都度、市民が支えた。政権後半は助役などの人事案件が通らず、多くの施策を独自判断でやらざるを得なかった、としながらも「ほとんど独裁状態」と振り返り、笑いを誘った。
 住民発意により我が国初の「文教地区指定」を勝ち取った国立市は、一橋大と国立音大がある学園都市として知られ、道幅四四㍍の大学通りがある。車道と自転車・歩道脇のグリーンベルトにはイチョウとサクラの並木があり、樹木の周りには草花が植えられ、道路そのものが公園のような景観を創出している。
 一九九九年、この通りに面して不動産業者が高さ二〇㍍の並木を超える十四階建て、高さ約五三㍍の高層マンション建設を計画。
 着工後、同市は予定地周辺の建物高さを二〇㍍に制限する条例を制定。東京地裁は二〇〇二年、入居済みマンションの七階以上を撤去するよう求める判決を下したが、その後、最高裁で市が敗訴した。しかし上原さんは、「住宅地にも景観利益がある、と判決文が認めたことは画期的」と意義付けた。
 以前から主婦として環境保護や食の安全などの住民運動に携わってきた上原さんは、「依存型の運動はいけない。市から補助金をもらうと、ろくなことはない。自分達で稼げばいい」という考え方をしており、同市で住民が取り組む樹木などの保護活動を紹介した。
 大学通りにあるサクラの樹勢が衰え、対策を検討していた時、上原さんは木を切るのではなく樹木医による勉強会を開催。九十人の市民が参加して二年間にわたり学習した後、「くにたち桜守」が立ち上がり、並木を管理。さらに参加者によって公園管理協会が組織され、民有地を借りるなどして新たな公園が二十数カ所誕生した。
 一方、「バブル期の夢を描いてまちづくりをしては失敗する」と忠告。「少子高齢化が進む中での企業誘致は疑問。暮らしを支える商店街がなくなることは生きづらくなる」として、「活性化イコール企業誘致」には距離を置く考えを示した。国立市も他都市と同様、一時シャッター通りが増えた。商店街活性化のため一橋大の教授、大学生、商店主、市民、市当局が話し合って対策を練った結果、四つの空き店舗を取り上げ、無料でもらった間伐材を利用して改装。市が加わったNPOで経営するようになった。
 その店では駄菓子や野菜の産地直送販売、さらには駅前の銀行駐車場を土・日曜日に借り受けて泥付き野菜などを販売するなど、にぎわいづくりに貢献しているという。
 これらの住民参加の活動を通じて子どもの見守りネットワークが出来上がった。同市が子ども総合計画を作るに当たっては、子どもに参加を呼び掛け、子どもが子どもを調査した報告書も作られた。あくまでも住民本意が基本で、その根本は日本国憲法にあると説いて講演を閉じた。
 質疑応答の中で、同市で市民によって作られた「財政白書」について上原さんは、「沼津市の財政を見ても借金がいくらあるか分かりづらい」とした上で、「市民が歳入、歳出を知れば、補助金をくれとは言えなくなる。『血税を無駄にするな』と、市民が財政を学ぶ必要がある」と指摘。
 広域合併については、
「基本的には、まちは小さいほうがいい」との持論を示し、市長退任後、岩国市と松本市の市長選を手伝った経験から「合併によって両市とも県内一大きい市になったが、住民の顔が見えない、合併したところの悲惨さを見てきた」と話した。
 その上で、「財政が苦しいからと合併する、と借金が大きくなる。交付金は、これからはもらえない。面積が広くなると住民との関わりが薄くなる。フェイス・トゥー・フェイスで政治を行うのが市役所」だと説いた。
 「議会で一般質問の質問要旨が事前に当局に提出されることが議論のない議会の沈滞につながる」との意見に対しては、「質問の事前通告は(市当局が)資料を揃える意味で必要」だとしたものの、沈滞の打破策として市民による議会傍聴を勧め、「どのようなルールを作るかは市民の知恵の出しどころ」だとした。
 市当局が学識経験者らを加えて組織する各種の審議会について、国立市では審議会委員の半分以上を公募し、会は公開しており、「審議会を変えることは市民参加の突破口になる」とした。
 国立市では、議会ウォッチャーが議会に足を運び、そこで見聞きしたことを議会通信として発行。市議選挙時には議員通信簿を客観的に評価して配布しているという。
 沼津市が今年度中に策定し来年度半ばに施行するという景観条例に関して、市当局が「構造物の高さ制限にまで踏み込むのは難しい」としていることに対して見解を求められ、上原さんは「人口減の時代に高い構造物を造っていいのか。高さ制限は財産権に関わるから難しいということなのかもしれないが、その点を市民と話し合って決めなければ意味がない。市当局と市民の決意が必要」だと説いた。
 終了後、上原さんを囲む懇親会の席上、「もう一度聞きたい」との要望があり、二十九日午後一時から市立図書館四階の講座室で開くことになった。上原さんは「初めての人も参加してほしい」と話している。
(沼朝平成20年6月5日(木)号)
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