第3章「年再生の救世主になるか・地方都市での鉄道高架化事業」
Q1沼津市ってどんな町か?
A1
①日本一のいや,世界一の恵まれた都市環境
1)産業,健康文化のバランスのとれて住みやすい地方都市
ところで,沼津ってどんな町だろうか?と聞かれたら,次のように,紹介できます。「日本で一番恵まれた都市環境にある,面積179平方キロ,人口20万人の日本列島の中心,東海道に位置する歴史ある地方中核都市で,めったに雪が降らない温暖な気候,豊かな産物に恵まれ,産業,健康,文化などすべてにバランスの取れたもっとも住みやすい地方都市である,いや,でありました。」と言えます。
2)沼津は「山のスイス」,「海のイタリア」が一緒になった"スイタリア"といえる
沼津は,まさに世界一の恵まれた立地条件の誇れる町です。富士山の高さ3,700メートルの山,駿河湾2,500メートルの海,6,000メートルの高低差があり,「山のスイス」と「海のイタリア」が一緒になった"スイタリア"ともいえる町です。富士山の裾野でスキーを楽しみ,車で3,40分走れば,駿河湾に着き,ダイビングができる,同じ日に,冬と夏が共存できる世界にも類のない自然に囲まれた都市環境が沼津市にあります。
3)「美味しい食文化」の花咲く地域
駿河湾の海に60キロの変化に富んだ海岸線を持ち,東・北・南に箱根・富士,伊豆の山々が展望でき,本州で一つの北流する狩野川の流れが駿河湾に注いでいます。豊かな自然の恵み、6、000メートルの高低差に山海の珍味があります。駿河湾の魚を天城山のわさびで楽しむ贅沢さ,「美味しい食文化」が花咲く地域でもあります。
4)東京という大都市と沼津という地方都市の両方が楽しめる都市である
新幹線で東京へ1時間の至近距離にあり,顧客が東京へ吸収される面もありますが,市民は大都会,東京と沼津という地方都市の両方を楽しむことができます。沼津は既に東京首都圏の西のベッドタウンになっており,多くの東京勤務者が居住しています。ウイークデーは通勤,休みには,温泉,ゴルフが楽しめます。実質的には世田谷と同じであり,東京圏,首都圏へ通勤通学圏を形成しているのです。湘南の鵠沼に匹敵する住環境であって,保養地としての歴史もあり,湘南を越える自然環境,「超湘南の地域」と位置づけられます。
5)沼津の自慢は「海」,「山」,「川」,「空」
沼津の自慢を市の広報で見ると,これが一番が24件,これが自慢が47件あり,海岸線の長さ,湾の深さ,柿田川の湧き水など自然環境の豊かさをあげています。水道料金の安さ,ごみの分別システムなども自慢であり,住みやすい街を強調しています。
例えていえば,沼津の小学校の校歌には,「海」,「山」,「川」,「空」を歌う4番まであります。東京の目黒の小学校の校歌には,「空」しかありません。沼津はほんとに恵まれています。しかし慣れてしまった市民はその恩恵に気が付かないようです。
②幸せが天から降ってくる一退嬰的な市民意識一
1)「沼津乞食」の風土がある
でも,沼津市民には,「幸せは空から降ってくる」と思っている退嬰的な市民意識が強いと思います。よく静岡県の町の特性を,"浜松強盗","静岡詐欺","沼津乞食"の風土といわれるように,浜松の「やらまいか」の積極的な精神,静岡の知力,知性に比べて,沼津市民は,何事にも,消極的,受動的であって,進取の意気に乏しいのが,欠点だと思います。地の利から,新幹線も,国道1号線も,東名高速道路も,市民の負担なしに,黙っていても,一番,最初にできました。大きなプロジェクトは黙っていても国が作ってくれるので,欲張って公共事業をありがたがる気持ちも薄かったようです。
2)いつまでも続かないその豊かさ
高度経済成長期にも,環境保護から石油コンビナートを受け入れなかったように,昔から環境を大切に考える市民意識が続いてきています。これまでも,長い間,地の利,時の利で,産業活動は活発,経済も良好で,財政はそれなりに,豊かで,国からの交付税を貰わなくても,地方自治が運用できる恵まれた自治体でありました。長年,市民も行政も,豊かな環境に慣れ親しんでしまって,時代の変化に気が付かず,最近の財政逼迫の意識は低く,幸運だった時代の空頼み,人頼みの気運から抜け出せないでいます。
③公共事業が生んだ市民感情の亀裂
1)深刻な市民感情の亀裂が生じる
幸せな土地柄でありますが,最近,「箱もの事業」を巡って市民感情に亀裂が生じ,不協和音が聞こえてきます。鉄道高架化事
業をめぐって推進派と反対派の争いが激化し,沼津市と市民の間に円滑な話し合い,情報公開,協調の意識が欠けるままに,市民は鉄道高架事業の住民投票条例の制定を求め,市議会がこれを否決すると,議会,市長への不信任から市長のリコール運動にまで進んできていきました。
2)亀裂を解消し,市民の一体感を作ることが大切
市,市議会の対応も,拙劣であり,市民にも事態の冷静で理性的な理解が不足するままに,鉄道高架化をめぐる市長派と反市長派という対立構造ばかりが広がり,市民の間にも深刻な市民感情の亀裂が生まれています。早く亀裂を解消して,何よりも市民の一体感を作らなければならないでしょう。
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