「芙蓉市・ふよう市・FUYOUCITY」の議論の薦め 上 長谷川徳之輔
立ち後れた東部地区、総合的な都市計画を
沼津市、三島市、長泉町、清水町、函南町の5つの自治体は、市民生活からも、経済活動からも、事実上一体とした都市、市街地であり、合併して、なぜ人口四〇万人としての都市機能を発揮できる地方自治体にならないのか、不思議でならない。
静岡市、浜松市は、周辺自治体と合併して政令指定都市にまで成長した。静岡市は人口七二万人、浜松市は人口八一万人。先の東部の五自治体が一体化すれば人口四〇万人を超え、静岡、浜松に十分匹敵する都市規模となる。
(静岡市)面積一、四一二平万㌔、人口七二万人=人口密度一平万㌔当たり五一〇人
(浜松市)面積一、五五八平方㌔、人口八一万人=人口密度五二〇人
(五自治体)面積三五〇平方㌔、人口四三万人=人口密度一、二二九人。
五自治体の面積は、静岡、浜松の四分の一、人口密度は二・四倍。マクロ的に見ても、静岡市、浜松市よりずっと都市的な地域なのである。
しかし、静岡県の東部地域は合併への機運に乏しく、地域の小事の利害に拘泥し、何事にも消極的で時代に立ち後れ、この地域の市民生活や経済活動に対応できる地方自治体になっていないと思わざるを得ない。
誰が見ても、この地域の中心は新幹線三島駅であり、三島駅北口広場は五つの市街地の接点であり、新幹線を通じて全国に結ばれる結節点でもある。
都市計画は、いかにしてこの接点と各市街地を円滑に結び付けるか、五つの地方自治体を一体的に機能させるかであり、沼津駅鉄道高架審業のように、沼津駅周辺にだけ限定され、沼津市の利益、利害だけの公共事業では、その役割を果たすことができはしない。一つの自治体としての、総合的な都市計画を考えなければならないのだ。
ばらばらな思惑を脱しよう
鉄道高架事業にしても、金も時間もかかる沼津駅周辺の高架事業より、三島の広小路周辺の私鉄線の高架化の方が遙かに安価で、事業の投資効果も大きく、費用対効果でも格段に利点が大きいはずである。
なぜ、そうならないのかについて言えば、五つの自治体の意志がばらばらで、利害、思惑が一致しないからにほかならない。
例えば、鉄道高架事業一つ取っても、沼津市以外の周辺の自治体、市民や町民は、沼津市にしか利益がない沼津駅付近鉄道高架事業には、表向きはとにかく、本音では賛成していないであろう。
合併に誰がイニシアティブをとるのかも分からない。たとえ五つの自治体が合併しても、合併後の市の名称を、「沼津市」にしようと「三島市」にしようと、簡単に合意は得られまい。「伊豆市」や「駿河市」にするにしても、「伊豆国」「駿河国」といった歴史的な利害は対立するし、第一、「伊豆市」「伊豆の国市」は既に存在している。特にこの地域の中心だと自負している、かつての駿河国の沼津市の対応が、ことを決める決定的な役割だと思われる。(つづく)
(明海大学名誉教授、東京都目黒区)
(沼朝平成23年10月5日号)
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