
沼津駅南口「イーラde」開業一ヶ月
「波及効果は近隣止まり」中心街の回遊性向上課題 沼津市が建設を進めたJR沼津駅南口の大手町地区再開発ビル「イーラde」がオープンして一カ月。約半世紀ぶりに駅前が様変わりし、県東部初出店の食品スーパーなどが入る商業ビルは、駅周辺部に人を呼び込んでいる。
ただ、期待される波及効果は近隣にとどまり、中心部の回遊性をどう高めていくかー。課題も見え始めた。
再開発ビルを管理する沼津まちづくり会社によると、三月二十日の開店から十三日までの買い物客数は十五万人。
小栗敞取締役は二日平均五、六千人。来館数はその一・五倍以上」という。一方、車の来館数は約三百五十台の駐車場が一回転する程度。「客層は幅広いが、年配の女性が中心。バスや電車を利用し、近隣から徒歩で来店している」と分析する。
集客の核になっている食品スーパー「しずてつストア」は、三月の売り上げが目標額を二割超、四月も目標を上回っている。ワインや手作り豆腐など高品質、高額商品が予想以上に売れている。
一方、飲食店はすし店一軒、カフェ三軒で、利用客から「食事する店が少ない」(六十代男性)など不満も漏れる。小栗取締役は「早く二ー三店を誘致したい」と表情を引き締める。
イーラde前で貴金属店を経営する藤原規夫駅前名店街会長は、久しぶりのにぎわいに顔をほころばせる。「明るくなった駅前との一体感が必要」と、アーケードの化粧直しと合わせて、店の改装をした。直ちに売り上げが伸びたわけではないが、「人の姿がなければ始まらない。ここからが商人の腕」と意気込む。
駅南の商店街は連携してオープン記念セールを展開した。例年のイベント開催期間を一週間延長した仲見世商店街では、人通りが普段の三ー五割増しになった。
しかし、仲見世の東側にある大手町商店街では「人出は変わらない。波及効果は感じない」と同商店街振興組合の松田和孝理事長。「回遊性を高めるには駅前交差点に横断歩道を設けるなど、歩行者の歩きやすい動線を」と訴える。
沼津市は、年間約百万人が訪れる沼津港と沼津駅間の回遊性向上を目指す。既存の商店や施設に協力を求め、歩行者が情報収集やトイレ休憩できるなど楽しく歩ける「まちかどスポット(仮称)」の準備を進めている。本年度中に二、三カ所設置する方針だ。
沼津市商店街連盟の芦川勝年会長は「オープン後の状況分析には三カ月から半年かかるが、机上の理屈と現実の差を埋めるために再開発ビルも街も、早く課題解決に取り組む必要がある」と話す。(東部総局・金原一隆)
(静新平成20年4月20日「経済ナビ」)
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