Q3
どこまで進んでいるのか?
一「進むも地獄止めるも地獄」一
A3
①手続きは完壁だが,中身が問題
都市計画の手続きは着々と進み,市役所が説明する通り,法的手続きに遺漏はないでしょう。平成18年,2006年には,施行者の静岡県が鉄道高架化事業について,国土交通大臣の認可を受けるとされています。次は平成19年度予算に補助事業としての予算措置が行われるかどうかになっています。また,沼津市は,事業の推進を図るために,事業用地の先行買収を進めるとして,そのために271億円の資金を積み立て,線路用地,新貨物駅,新車両基地の買収を進めています。既に相当量の用地買収を完了しています。しかしこの基金は,税金を積み立てたものではなく実質的には,市の債務,借金をして積み立てたものですから,利子を支払い,返済しなければならない基金なのです。
②当てになるのか国の支援
さらに,何よりも一番心配なのは,これから国の事業費補助が計画通り,静岡県,沼津市に補助されるかどうかにあります。政治的にも,国,地方の財政再建対策からも,補助金の支出は難しい選択になるでしょう。国の鉄道高架化事業の認可があったからといって,財政的な支援が確定しているわけではありません。また,一旦,補助金が支出されると,沼津市や静岡県は自分の都合や方針で,簡単に変更し,中止するわけには行かなくなります。
「補助金の適正化に関する法律」で事業を中止した場合には、補助金を返還しなければなりません。島根県の中海干拓事業や長崎県の諌早湾干拓事業の中止や変更が大問題になったのは,既に大量の財政資金が投入されているからです。
③進むも地獄,止めるも地獄
沼津駅鉄道高架事業が,いったん公共事業として,国、国土交通省が採択すると,事業の成果が明確ではなくても,財政負担に困難があっても,行政や政治の責任上,済し崩し的に,先行きの明確な見通しがないままに,事業が継続していくことになるでしょう。いつ完成するのか,事業期間に明確な見通しが立てられないままに,"ちんたら","ちんたら"工事だけが続いていくことになります。沼津市役所の基金の負担による,土地の買収は元に戻すわけには行かず,結果として無駄な投資になってしまうかもしれません。今,この事業を進めるにしても,退くにしても、その決断は大変難しい局面にあります。「進むも地獄,止まるも地獄」と言っていいでしょう。
④大損失を出した「コンコルドの誤り」を繰り返すな
「コンコルドの誤り」と言う言葉があります。フランス,イギリスが一体になった超音速飛行機コンコルドの開発で,膨大な開発費をかけて開発を進めたのですが,採算がうまくいかないと分かっても,既に支出した開発費を考えると進まざるを得ないと開発を強行した結果,さらに膨大な損失が生じてしまったと言うことで,使った金を惜しんだため,かえって損を大きくしてしまうことをいうのだそうです。鉄道高架化事業にもこれと同じことが言えそうです。
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