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第5章2-2

④あまりに過剰な便益計算

1)まだまだ幼稚な費用対効果分析

「費用対効果分析マニュアル」は,事業の優先順序を判断するために,お役所が仮に作成したものですし,まだ確定したものではなく,計算の数値によっては,いかようにも算出が可能なものですから,2.7あるから大丈夫だと,絶対視すべきものではないと思います。本来このような事業には,沼津駅総合整備事業の全体の効果について,交通便益の分析にとどまらず,街づくりの効果や経済全体への影響などのもっと広い分析が必要です。しかし,この見通し,費用対効果は明確ではありません。どうして算出するのか,方法論すら分からないからです。

2)走行便益と時間便益とは?

沼津駅鉄道高架化事業の費用対効果は,鉄道高架化をした場合と,しない場合の道整備の効果を,「走行便益」、すなわち渋滞解消による時間短縮効果と燃費の節減効果によって評価するもので,結果的には,年間94200万円の効果があり、このうち903,400万円,95%の便益が時間短縮効果だとしています。計算の根拠は明確ではなく,この効果が大きいのか小さいのか分らないので,ここでは一定の前提を置いて,この数直がどのような意味があるのか検証してみましょう。

3)マイナスの軽減効果の費用対効果分析

朝夕4時間の間に交通渋滞があって,運転者の時間給が6,000,10分で1,000円のロスがあり,110分の時間ロスが出ているとして,この時間便益を計算して見ましょう。時間価値原単位は,基準では,75.7/,ですから10分で756円と言うことになり,1,000円はかなり高く見積もったものです。

高架化事業がなかった場合の時間ロスは,年間1717,300万円,と言うことですから,250日のウイークデーで見ると,6,900万円のロス,朝夕4時間のロスでは,1時間1,740万円になり,10分で1,000円のロスで計算すると,時間交通量が17,400台になります。高架化が完成すると,交通の円滑化から,時間ロスは813,900万円に減少し,日ロスが3,260万円,時間ロスが815万円で,8,200台のロスに軽減されるという計算になります。そこで,鉄道高架化の道路交通の効果をその差だとして、年間ロスが903,400万円減少して,1日ロスが3,620万円,時間ロスが900万円になり,それだけロスが減ることが利益と言うことです。4)これではよく分からない交通量の予測

時間ロスを,時給1,000円の運転者の数に計算すると、高架化事業をしない場合は,時間交通量が17,400台の損失が発生し,高架化事業をした場合の時間交通量の8,200台の損失に減少する

から、鉄道高架化事業の時間便益は,17,400台マイナス8,200台の、9200台が渋滞を免れる利益,それが年間903,400万円だと言うことです。高架化事業をしないで,放っておくと,時間交通量が17,400台になると言うのは,あまりに過剰見積もりだと言う感じがします。沼津駅周辺の南北交通量はせいぜい,3万台足らず,時間交通量は4,000台程度でしょうから,2030年に時間交通量が4倍も増える計算になってしまいます。この試算はあくまでも、一定の想定をおいているものですから,誤りがあろうと思います。どのような計算で903,400万円の時間便益が計算されるのか、詳細な数値を示してもらいたいのです。

 

13個所の「踏切り」除去の効果

1)自動車の通行しない「踏切り」

踏切りが13個所なくなるという効果ですが,確かに現在この鉄道高架化事業の区間に13個所の踏切が存在しています。しかし,その踏切りは,農道や小さな市道,私道だろうと思われますし,大部分は、自動車交通にほとんど役立っていないようです。これらの踏切を連続立体事業の効果に参入するのも,いささか,過大評価ではないでしょうか。本来,連続立体交差事業が対象にする踏切りは,自動車交通量が大きく,渋滞が大きなロスを生んでいます。

2)東京の環状7号線の例

例えば東京の環状7号線とかいう道路と線路の踏切りのはずです。連続立体交差事業の採択基準では,踏切は交通渋滞が激しく,踏切事故が多発する道路を対象にしているもので,自動車の通らない農道や私道が対象ではないでしょう。踏切りの13箇所を効果に入れるのは,言い過ぎだと言う感じがします。

 

18.7ヘクタールの新規の土地は使えるのか

1)土地余り時代の土地開発

14ヘクタールの土地と4.7ヘクタールの高架下の土地は何に使えるでしょうか。鉄道高架化事業の大きな効果として新しい土地が生み出され,都市開発に使われることが上げられています。高架化事業によって,14ヘクタールの土地が生まれ,4.7ヘクタールの高架下の土地が生まれて,商業施設や事務所などに利用されることによる効果を上げています。基本計画では,ここに高度都市機能,国際会議場やコンベンション施設が設置されるなどの夢を描いています。どう使うのか市民の希望を集めていると聞いていますが,人口減少,低成長下で今以上に土地の需要が増えることは考えられず,ここに,高度の都市機能が集積することなど考えられません。

2)専門組織に見放された拠点開発事業

高架下の土地すら,協定では沼津市には15%,0.7ヘクタールしか手に入らないことになっています。東部拠点開発事業の施行する立場の再生機構は,この事業に開発効果が乏しく,地価も上がらず,事業の採算性がなく,施工のコストがまかなえない事業だからと,事業から手を引く動きになっており,その責任は,沼津市に移って,沼津市が施主になって,施工せざるを得ない事態になりそうです。

3)「飲み屋」か,あるいは「駐車場」にしか使えない高架下商業機能が集積している新橋,有楽町の高架下すら,駐車施設や飲み屋さんに使われているだけです。沼津駅周辺の高架下の狭い土地の利用可能性なども疑問ですし,将来の需要が増えない時で高架下に,土地利用を広げることは,それだけ他の本町,大手町の中心市街地の土地利用の可能性が減ってしまうことになりかねないと思います。どう使われるか方針も明確ではなく,費用対効果もはっきりしない土地利用に幻想を持つことなど危険ではないかと思います。

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