Q2癒着した政・官・業の利権構造とは?
A2
①利権の巣になったのか地方都市
地方自治体の利権構造,大きな利権から小さな利権まで,公共工事の受注から交通違反の揉み消しまで,がんじがらめの談合組
織が形成されていて,利権の分配は,当たり前の議員の活躍分野ですし,それが議員の仕事だという意識があるようです。市民もそう思っているし,違反建築でも何でも,無理難題を議員さんに頼む姿勢が普通のことです。議会とは,その町の利権の分捕り合い,分配する組織ではないのかとも思われる程です。中央政界では,財政再建から,公共事業を削減し,効率化,重点化を進めるといいますが,中央政界では公共工事の削減を唱える民主党,公明党までが,地方都市では,地方利権を維持するために,何が何でも国から金を引き出すことが肝心だと,無駄な公共事業でも,どんどんやるという姿勢を示しているようです。
②ギルド社会か,政・官・業の癒着構造
昔,中央省庁にも利権の配分構造が機能し,道路,港湾,農業と公共事業を分割して,利権を分け合うために,各省各局で,族議員を中核とする利権構造が定着していていました。利権を公平に配分する政官業を一体とした,談合社会,ヨーロッパの中世の同業者組合のような,ギルド社会が存在していたのです。ギルドの親分に選良,代議士がなり,道路は誰先生,下水は誰先生というギルドの親分が暗黙に存在し,公共事業の配分には天の声が発揮されて,談合を仕切っていた事実は否定しがたいでしょう。政策立案の中央組織より公共事業の執行が役目の地方自治体では,・大小の利権を巡って,政治・行政・業界が,さらに密接に結びついています。利権構造,談合体質は中央より根強いと思います。
首長や古参議員が親分役になる利権ギルドかもしれません。正直に公共事業を巡る問題を見てみましょう。
第2章「地方都市は旧い体質の残る自治体を脱却できるか?」
Q1旧い体質の地方都市が抱える問題点はなにか?
A1
①地方都市に未だに残る旧い体質
地方都市には,本当に地方自治,民主主義は確立しているのでしょうか,地方自治体の実際を見ると,なお問題があるように思えてなりません。中小都市には,相変わらず,旧い体質が目立ち,政官業の癒着した利権組織の色合いを脱していません。2007年4月には地方選挙がおこなわれますが,利権確保のための選挙ではなく市民を代表する選挙になるのか,21世紀に地方分権,地方の自立が進むのか,本当の地方自治は生まれるのでしょうか。地方都市が,なお残る旧い自治体の体質を脱し,利権の巣をどう改革するのかが問われています。公共事業も,ただ,地元に金が流れればいいと,地方利権の確保と分配だけで論議されてはいけません。少し,地方都市の抱える問題を見ていきましょう。
Q4「街づくり三法」の制定,中心市街地の活性化への道はどうするか?
A4
①「大規模小売店舗立地法」,「中心市街地活性化法」、
「改正都市計画法」の制定
1998年から2000年にかけて,地方都市の中心市街地の衰退,空洞化を何とかしようと,アメリカ企業の立地を進めたいアメリカの圧力に屈して,国際協調を進める,規制緩和を推進するとして,それまでの大型店舗の立地を規制する制度が整備改正されました。
大規模小売店舗立地法(大店立地法,スーパーなど大型店の出店を地元業者との調整を必要とする仕組みを改正),中心市街地活性化法,改正都市計画法(郊外への大型店の出店を都市計画法に基づいて市町村が規制する仕組み)の三つの仕組みを「街づくり3法」と総称して,この仕組みによって中心市街地の復権を進めようとしています。
②ビジネスより生活に重点を置くー「新しい都市計画法」と「中心市街地活性化法」の改正一
確かに,制度は作られましたが,実際には,その後も中心市街地の空洞化がさらに進み,せっかくの仕組みが十分機能しなかったことから,今回,改めて,中心市街地活性化法と都市計画法の改正が行われたわけです。これまで,中心市街地の活性化の手段に,駅前商店街など商業施設の充実,ビジネスの振興に重点を置いていたのに対して,今回の改正では,都心の魅力を増すために,学校や病院,文化施設などの公共施設の中心市街地への立地などの総合的な取り組みを行うものとされています。
③大規模店舗の立地抑制一「都市計画法」の改正一
都市計画法の改正では,延べ面積1万平方メートル超の大型店の郊外への出店は,原則禁止になります。必要ならば市町村が都市計画を変更して誘致できる仕組みを導入し,また市町村による都市計画の決定変更に道府県知事が同意するに際しては関係する市町村から意見を聞くことなどして,市町村の自主性を尊重して,周辺地域への影響を考慮するなどの対策も考えているそうです。
④首相まで乗り出す中心市街地活性化対策一「中心市
街地活性化法」の改正一
さらに,中心市街地活性化法の改正では,首相を本部長にする中心市街地活性化本部を設置し,都市機能の集約を重視した街づくりの基本方針を作成し,これに沿って,市町村が基本計画を作成し,それを首相が認定し,国の財政支援や税制優遇措置などの手厚い支援を受けることができるようにするとあります。首相自ら乗り出す大げさな対策が講じられていますが,やる気のある自治体への手厚い国の支援があるとしても,経済原則に反する計画に実効性が上がるのか,中心市街地の住民の意欲のない退嬰的な経営姿勢の改善が進むのか,後継者難が解消されるかなどの本質的な対策は,まだ見えていません。