25日の市議会(沼朝平成20年2月27日号)
質問一部削除問題にかかわり
市長が発言求め不快感二十五日の市議会二月定例会は、二十二日の江本浩二議員(未来の風)の発言削除問題の処理に手間取り、午後四時三十五分になって本会議を開会。江本議員が質問の中の「沼津駅北拠点施設整備事業」に関する部分の削除に応じるとともに、議事運営を混乱させたことを陳謝。
これで一件落着し、山下富美子議員(同)の質問に移るのに先立ち斎藤市長が発言を求めた。
市長は、これまでの自身の政策の柱や取り組みを挙げた上で、「七番議員(江本議員)の市政への批判は容認できるものではありませんが、ただいまの陳謝を受け、七番議員の今後の言動を見守ってまいります」と述べ、不快感を示した。
続いて質問に立った山下議員は、沼津駅周辺総合整備基金からの借入金で新車両基地や新貨物駅などの用地取得を行っている内容を知るため情報公開を求めたが、ほとんどが不開示となった点を追及。
清水忠企画部長は、開示するか否かは担当部署が市情報公開条例に基づき個別、具体的に判断している、とし、同条例が市民の知る権利を保障する一方、プライバシー侵害を含め個人の権利・利益を最大限保護しなければならないと答弁。
加藤裕孝沼津駅周辺整備事務局長は、個人の情報及び公にすることによって事務の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあると判断した、とし、市情報公開条例の例外規定のいずれにも該当しないものだと答えた。
山下議員は、沼津駅周辺総合整備事業の現在までの事業費ベースでの進捗率と、新車両基地、新貨物駅などの用地取得を担う市土地開発公社が先行取得した土地のうち、市が買い戻していない土地代約八十億円の財源を尋ねた。
加藤局長は、十六年度以降の駅周辺総合整備事業全体の事業費を千七百四十億円と見込む中、十六年度から十八年度までの執行額は用地先行取得費を含め百九十五億円で、事業進捗率は約一一%であると回答。
また、同公社が先行取得した新車両基地と新貨物駅用地を市が再取得するについては、沼津駅周辺総合整備事業基金を財源にすることを示した。
山下議員は、最高裁が審理した「公文書非公開決定処分取り消し請求事件」で、奈良県土地開発公社が先行取得した土地の所有者、取得額について、同県条例にだ定められる「公にすることが予定されているもの」に該当するとして「開示すべきである」との判決が出たことを紹介。
同県条例の規定は沼津市条例とほぼ同じだとした上で、山下議員の請求に対しても「開示されてしかるべきもの」だと迫ったが、清水部長は前問同様の答弁を繰り返すにとどまった。
また、沼津駅周辺総合整備事業に関する買い戻しの状況と今後の見通しについての質問の中で、鉄道高架事業には毎年平均約十億円の市負担が必要であるばかりでなく、土地取得費の約九十億円が加わるとし、財政面の不安をただした。
加藤局長は、市土地開発公社からの買い戻し分を除いた約九㌶を約百三十億円で取得する、とした上で、「国、県の支援は確かなものだと考えている」と予算面の不安を否定した。
次に殿岡修議員(同)は、鉄道高架事業を大胆に見直す必要性について質問。「新貨物駅の用地買収を二年間延長して取得は可能か」と尋ね、同事業が住民の意向も聞かずに立案されたことに根本的問題があるとして「白紙に戻すべきだ」と主張。
移転先の桃里自治会の貨物駅移転に対する全戸アンケート結果を示し、移転に賛成が八十六軒、反対二百五十四軒、どちらとも言えないが二十九軒、白票三十軒、未回収二十九軒であることを挙げ、市長の見解を尋ねた。
加藤局長は貨物駅設置の見直しについて「市民、市議会において十分な議論が行われた上で本市の重要事業として進めている」とし、アンケート結果については「承知している」とするにとどまった。
殿岡議員は、市長の答弁がなかったことに失望を示した上で、沼津駅南第一地区土地区画整理事業区域内で基準値を超える重金属の鉛が検出されたことに関し、汚染土壌処理方法、処理費などを尋ねた。
秋山精太郎都市計画部長は、法に準拠した任意の調査で検出されたことを示し、現在、汚染土壌の入れ替えをしていること、処理方法、費用については関係機関と協議していくと答弁。
殿岡議員は、全国の旧国鉄跡地から鉛などが相次いで検出されていること、沼津の場合も検出されたのは国鉄跡地であることを根拠に、「沼津市が負担することは全然ない」と主張。今後、区画整理が進むに従い汚染地が拡大する懸念と莫大な処理対策費が必要となることを指摘し、財政面での不安を示した。
続いての梅沢弘議員(同)は、まちづくりの基本となる自治基本条例の制定に向けての考え、NPO活動に対する市の財政的支援策、子育て世代に対する支援策について質問。
清水部長は、地方分権の進展に伴って同条例を制定する動きが広がっていること、これまでも自治基本条例の精神にかなった施策を行っているとし、条例制定の必要性を研究することを約束。NPO活動支援については、各自治体の様々な支援策を今後の参考にしたいと答えた。
端山しげ子・福祉事務所長は子育て支援策について、来年度の保育所保育料軽減措置や入院費無料化を含む乳幼児医療費助成、ファミリーサポートセンター事業、保育サービスなどを挙げ、各種の支援策を実施していると答えた。
この後予定された滝口文昭議員(北辰会)は質問を取り下げ、曳田卓(同)が登壇し、来年度予算編成、二酸化炭素排出量削減、食の安全と地産地消の推進について尋ねた。
来年度予算について市長は、自らの政策の柱に沿って意を尽くしたと答弁。
室伏孝修生活環境部長は二酸化炭素排出削滅について、市関連施設の十八年度排出量が十六年度に比べて一・三一%減少し、総量約三六、○○○トンになったことやガス給湯器補助などの対応策を挙げた。
井原三千雄産業振興部長は食の安全について、農協などと共に、化学肥料と農薬を極力控えた「エコファーマー制度」の積極活用などによる環境保全型農業を推進していることを示し、食の安全、地産地消の推進は市の農業振興を図る上で重要だとの認識を示した。
工藤達郎教育長は食の安全と地産地消について、子ども達に農業体験を通じて地産地消の大切さを指導していること、地場産を給食で提供していることを挙げた。
夕食休憩を挟んで登壇した山崎勝子議員(共産党市議団)は、財政問題、貧困者支援策と格差是正策、まちづくりの基本認識と評価について質問。
財政問題質問の中で、新貨物駅用地について市当局が十九年度末までに取得する、としてきた根拠を尋ねたが、加藤局長は「地権者の考えや事情を十分に聞き、事業への理解を得て協力いただけるよう精一杯努力する」と答えるにとどまった。
清水部長はまちづくりについて、これまで進めてきた鉄道高架をはじめとする沼津駅周辺総合整備事業における北口駅前広場、Bivi沼津、三月中旬にオープンする再開発ビルなどを挙げ、市内外から高い評価を受けていると答弁。
土屋一成建設部長は常襲浸水地域と総事業費、事業期間について、青野八石、大諏訪、木瀬川、大平、塚田、我入道地区を挙げ、十八年度から二十二年度までの五年間で約二十億円を見込んでいることを示した。
渡辺教二議員(同)は、後期高齢者(七十五歳以上)医療制度に対する認識と、県後期高齢者医療広域連合議会議員としての市長の役割と責任について質問。
木戸英寿市民福祉部長は、広域連合議員としての市長の役割と責任について、沼津市民だけでなく県民の意思や要望を広域連合に反映させるものだとし、「国民皆保険を維持し、将来にわたり安定的で持続可能な新制度と認識している」としたが、渡辺議員は「広域連合議会議員は(市当局では)市長一人だけなのに、なぜ(市長が)答えないのか」と不満をぶつけ、高齢者の医療が制限される点と介護保険と後期高齢者医療保険料が一月当たり一万円を超えることに対する市長の考えを尋ねた。
木戸部長は、七十四歳までと変わらずに必要な医療を受けられ医療内容が制限されることはなく、健康検査も同様だとした。
保険料が年金から天引きされることに関しては、生活困窮者など被保険者の納付相談に応じることを示した。
市議会2月定例会
再開発ビルでも質問
市駐車場導入路明示やライブカメラ
市議会二月定例会は二十六日、予定を三十分遅れて午前十時半に開会。前日に続いて総括質疑・一般質問を行い、二村祥一、渡部一二実両議員(いずれも市民クラブ)、千野慎一郎、岩崎英亮両議員(いずれも新政会)が質問に立った。質問を通告していた城内務議員は身内に不幸があり、質問を取り下げ、欠席した。
二村議員は、香貫地域の道路整備と生活環境について尋ね、「朝夕の通勤時間帯、慢性的に渋滞している国道四一四号を避けるため、香貫地区の南北に走る細い道路まで混雑し、特に児童生徒の登校時間帯は危険。計画されている八重塚田線はいつできるのか」。「国道四一四号静浦バイパスが完成すると、アンダーパス以外の場所では四車線道路を横断することになり住民の負担が増すが、交通安全対策と周辺住民に対する意見聴取等の対応は」と質問。
土屋一成建設部長は、「八重香貫線は、四一四号静浦バイパスから延長三八〇㍍について事業化する。来年度から検地、測量、詳細設計に取り組み、用地買収などを行う。登下校時の交通安全への配慮は、関係自治会や学校と共に交通規制などを考えていく。四一四号静浦バイパスは四車線で利便性が向上する一方、歩行者の横断時間が長くなる。歩行者の安全は十分に検討する」と答えた。
渡部議員は、「女性の仕事と子育ての両立に欠かせないもの」として、放課後子どもプラン推進事業の取り組み状況について尋ね、全学年の児童を対象に下校時刻から午後四時まで開かれる「放課後子ども教室」が県内各市町で開かれているが、市内では開かれていないことを取り上げ、「具体的な開設時期の目標」について質問し、工藤達朗
教育長は、「早期実現に努めている」とした。
また、小学三年生以下の児童を対象に下校時刻から午後六時まで、長期休暇中は午前八時から午後六時まで開かれている「放課後児童クラブ」運営上の課題などについて尋ね、端山しげ子福祉事務所長は、「四年生以上の児童も弾力的に受け入れている。開所時間を超える延長については、ファミリーサポートセンターの利用を訴えている。今後も様々な観点から検討していく」とした。
千野議員は、JR沼津駅周辺の活性化について尋ね、「南口交差点は心理的に大きなバリアーを感じるので、週末だけでもスクランブル交差点にできないか。地下道は楽しく歩けるとは言えない。エレベーターを設置できないか」と尋ね、室伏孝修生活環境部長は、「解決すべき課題も多い。関係機関と協議して市の顔としての整備を目指す」とした。
大手町再開発ビルのオープンに合わせた周辺商店街への回遊性についての質問に、井原三千雄産業振興部長は、「ちょっと立ち止まって休憩ができる街角スポットを設置する考えもあり、回遊性の向上を図る」と答えた。
千野議員は、「再開発ビルの駐車場は分かりにくい。添地交差点からあまねガードにかけて漫性的な渋滞を招かないか心配」だとしたのに対し、秋山精太郎都市計画部長は、「添地交差点などに案内看板を立てる。チラシや広報、ホームページで知らせる。渋滞対策は、信号の時間を調整して対応することで沼津署と協議済み」だとした。
再開発ビルについて、「市民がかつて体験したことがない高所からの素晴らしい景観は、マンションの居住者しか見られない。屋上にライブカメラを設置して、市民にも新しい景観を共有できるようにできないか」との質問に、清水忠企画部長は、「高さ七八㍍の市内最高の高層ビルで、東に箱根連山、西に千本浜、北に富士山などを見渡せる」と素晴らしい景観であることを説明し、「ライブカメラを検討したい」とした。
また、東部広域都市づくり研究会の解散について、「研究会の経緯を知らない市民から、『沼津のリーダーシップ不足じゃないか』『合併が後退した』との声が聞かれ、合併に協力的だった財政団体は『活動に不安を持っている』と話している。市民の疑問や不安に、自身の口で説明してほしい」と求め、斎藤衛市長は「解散は広域合併を加速させるためのもの。経緯と取り組みは市のホームページと広報に掲載して周知していく。あらゆる機会を通して合併問題に取り組む団体や市民に説明していく」と答えた。
岩崎議員は、消防広域化の目的やメリット、デメリットなどについて尋ね、古屋達男消防長は、「近年の高齢化により救急搬送が増え、地球温暖化で災害が増大しているが、消防本部は規模が大きいほどに対応能力が強化される。財政的メリットがあり、住民サービスが向上する。共同運営している三市二町を核に広域化を進めたい」と答弁。
学校や職場などで問題となっている「いじめ」の現状認識と一元化対策については清水部長が、「市内でも小中学校のいじめ、高齢者虐待、DV(ドメスティックバイオレンス)の相談が寄せられており、早期の発見と対応に努めている。全市が一体となって対策に取り組むが、当面、教育と福祉の関係部局でいじめ防止に努める」とした。
以上で通告のあった質問を終了した。
http://tokusan.blog.shinobi.jp/%E6%9C%AA%E9%81%B8%E6%8A%9E/2%E6%9C%88%E5%AE%9A%E4%BE%8B%E5%B8%82%E8%AD%B0%E4%BC%9A%EF%BC%942月定例市議会4