忍者ブログ

資料ぶろぐ

まちづくりの著書や資料
MENU

ENTRY NAVI

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第5章1-3

⑥小田急線の高架化事業と比較する

鉄道高架化事業は,全国で行われておりますが,中心は東京,大阪など大都市の通勤用の鉄道線路です。最近では東武鉄道の「開かずの踏切」で人身事故が発生して,その対策が急務だと指摘されております。小田急線,東武線,西武線,京王線などでは,どの路線でも1分間に1列車の電車が行き来し,踏切りは60分のうち50分が閉まっている状況です。沼津駅鉄道高架化事業では,13箇所の踏切りは解消されますが,通過する車両は往復で10分に1本ぐらいでしょう。60分のうち50分は空いています。

 

1)小田急線立体交差事業とは100倍の効果の差

10キロの高架化が必要な小田急線の沿線には200万人が住んでいます。沼津は21万人です。費用は両方とも2,000億円です。その効果には,横断する自動車交通も,鉄道の運行数も,著しく格差があり,鉄道輸送量,自動車交通量だけでも10倍の差があります。一人当たり負担は,単純に人口比では,小田急線10万円に対して,沼津駅高架化の100万円とは10倍の差があります。効果と費用では,単純に比べると,その効果は,100倍もの差になります。どちらを優先すべきは明らかです。

2)「特急あさぎり」を増やせる小田急線連続立体交差事業

小田急線に「特急あさぎり」が導入されてからもう10年以上経っているでしょうが,相変わらず1日に4本しか運行されず,使い勝手が悪く,導入の効果は上がっているようには見えません。理由の一つに,小田急線の容量が限界で新規の「特急あさぎり」の導入ができないことにあると思います。小田急線の複々線化が進んで容量が増えれば,もっと「特急あさぎり」を増やすことができるでしょう。沼津市にとって,沼津駅周辺の鉄道高架化事業を

進めるよりも,小田急線の複々線化を進めてもらったほうが,はるかにメリットが大きいような感じがします。

3)国の財政の現状を考えると今後の投資は期待できない

国の財政は,ますますきつくなり,公共事業費を全国に散撒く政策は採れず,優先度の高い投資にシフトしていくことは必至です。鉄道高架化事業自体が,財政難から立体化工事を進めるだけでなく「賢い踏切り」など,踏切りの改良,合理化,効率化で対応しようとしています。いずれ,「カネ喰い虫」の沼津駅の鉄道高架化は,投資効果が小さいと国から見離される恐れもあるでしょう。

 

⑦「高架化」の先進事例と最近の採択事業

 

1)      まず仙台駅の市街地の中心の仙台駅鉄道高架化事業の先例まず実績を見ましょう。JR仙石線連続立体事業は,仙台市の市街地を走るJR仙石線の立体交差化事業で,昭和56年度(1981)から平成12年度(2000年度)まで約20年間かけて,施行延長4,000メートル,(地下式3.5キロ,地表式0.5キロ)の高架化事業が進められ,踏切り除却数14箇所,交差道路は,都市計画路線8路線,その他の道路,10路線で道路整備が進められている事業です。総事業費654億円で完結しており,高架化区間1キロの費用を沼津と比較すると,沼津駅周辺高架化事業はキロ当たり195億円,仙石線高架化事業キロ当たり164億円です。沼津駅高架化事業と比較すると,1.2倍の高コストになっています。沼津市民は約20万人,仙台市は,100万人ですから,人口当たりの効果では,沼津の高架化は,仙台の高架化の6倍の高さなのです。沼津駅のコストが高くなるのは,新貨物駅,新車両基地の費用が大きいからだと思われます。

2)      効果の大きい採択事業

平成18年度の新たに採択された高架化事業は、事業の効率性、必要性,有効性を見て総合的に評価して採択されたとして、全国で次の2箇所が新規採択されています。

(i)一その1一兵庫県加古川市の事業が,事業費52億円で,沼津の20分の1,交通量2.5万台/日で費用対効果は、B/C(「総便益/総費用」)3.4で沼津の2.7を上回る事業で、効率的なことから選択されたのでしょう。事業費も,52億円と沼津の20分の1に過ぎません。

(ii)一その2一名古屋市の事業では,名鉄名古屋線の4キロメートルが採択されて,踏み切り遮断交通量は,6万台/日と大きなもので,事業費は600億円で沼津の約半分,費用対効果B/C,2.1と沼津より低いが,沼津駅鉄道高架化事業の半分の事業費であることが有利な条件だと思われます。沼津駅鉄道高架化事業についても,やはり厳しい選択基準が問われることでしょう。

PR

第5章ー1-2

③「開かずの踏切り」と踏切事故の多発

 

1)着工準備中の沼津駅高架化事業

全国の連続立体交差事業は,2005年までに,静岡駅や浜松駅など完成箇所が123箇所,施工中が53箇所,着工準備中が,17箇所,この中に沼津駅高架化事業が含まれています。2001年までに,総事業延長375キロメートルが完成し,除去した踏切りは1,185箇所になっており,都市においては,道路交通にも,鉄道輸送にも、大きな成果を上げています。

2)ピーク時に40分の「開かずの踏切り」がある

しかし,ピーク時に40分以上閉まったままの,「開かずの踏切り」は,まだまだ東京都を中心に500箇所,「ボトルネック踏切り」は1,000箇所もあるとされており,多発する踏切事故(2003,431件の踏切事故,141名の死者),社会問題化しています。1時間に50分も閉まる「開かずの踏切り」に対して,抜本対策として,施工者の拡大による「連続立体交差事業」を促進し,速攻対策として,遮断時間を短縮する「賢い踏切り」の導入と踏切り制御システムを推進することにしており,予算縮減のなかで,費用と時間がかかる連続立体交差事業に限らず,もっと効率的な対策を進めようとしています。

 

④踏切り改良と連続立体交差事業との両輪

 

平成17年度(2005年度)の「連続立体交差事業」箇所は,全国で62箇所(新規着工準備採択4箇所),立体交差される踏切りは,700箇所,予算額は,1,694億円,(対前年度比1.00)が計上されており,平成18年度予算では,社会問題化している,「開かずの踏切り」等,緊急対策が必要な踏切りについて,踏切り実態調査の総点検を踏まえて,歩道橋等の速攻対策と連続立体交差事業を車の両輪として踏切り対策を緊急かつ重点的に実施することと計画されています。事業費が多額になる連続立体交差事業を拡大することは難しいことから,効率的な歩道橋などの速攻策が主体になろうとしています。

 

⑤辛うじて採択された沼津駅鉄道高架化事業

 

1)本来なじまない「連続立体交差事業」

沼津駅付近の鉄道高架化事業では,幹線道路は,三つ目ガード(国道414号線)・中央ガード(県道),幟道ガード(沼津市道),平町一色線(沼津市道)4本が,鉄道と交差していますが,平町一色線以外の3路線は,既に鉄道の下のガードで立体交差しており・採択基準の道路と鉄道と平面交差していると言う定義には当たらない、中途半端な立体交差が存在しています。既に立体交差になっており、本来は「連続立体交差事業」にはなじまないものです。

2)「六事業」はあわせて一本

しかし,都市交通の円滑化ばかりでなく,市街地の整備,都市の発展と言う視点から,土地区画整理事業などの鉄道周辺の都市整備の関連事業を含めて一体として,公共性のある「連続立体交差事業」として認められたものです。このような大規模な改築の予定のある既設の立体道路(ガードの地下道)も踏切りとみなすとされて、この考えで、辛うじて,沼津駅鉄道高架化事業が国庫補助対象事業に採択されているものと思われます。「連続立体交差事業」のあり方からすれば,採択の順序はかなり低いものだと思います。

3)静岡県は「逃げ腰」

沼津駅鉄道高架化事業は,静岡県が事業主体になっていますが,今回、制度が改正されて,今年度からは,県庁所在都市,それに準ずる人口20万人以上の都市も認められたことから,人口20万人をようやく超えている沼津市が施行主体になることも可能になっています。事業主体としての意識が希薄で,事業から「逃げ腰」の静岡県は,沼津市が施行主体になることを,期待しているのかもしれません。今のままでは,将来,最終的には,沼津市がすべてのリスクを負うことになりかねません。

 

第5章ー1ー1

m-070212-04.jpg

5章「何のため、そして誰のための鉄道高架化事業なのか」

Q1

連続立体交差事業に関する国の施策とは?

A1

連続立体交差事業に関する国の施策とは、何んでしょうか。どういう仕組みで事業が進められるのか。鉄道高架化事業の基礎的な仕組みから見ていきましょう。

 

①建設省と運輸省の協定による事業

連続立体交差事業の定義は,

 

「鉄道と複数の幹線道路が交差し,その交差する幹線道路間の距離が350メートル以上ある区間において,3箇所以上で鉄道と道路を立体交差させ,連続する複数の踏み切りを同時に解消する事業を,特に連続立体交差事業という。」とあり,都道府県や政令指定都市が,事業主体になり,事業費の9割程度を,公共事業からの補助金によって賄なわれ,残りは鉄道事業者の負担する仕組みで,財源に道路特定財源(ガソリン税等)が用いられています。事業は,鉄道工事のように見えますが,財源では,国や自治体が負担する道路事業として執行されるもので,多くの鉄道路線の高架化や地下化に適用されている事業です。

 

②都市側から鉄道側への支援策

 

1)鉄道経営への支援策

もともと,道路予算が潤沢であるが,鉄道経営が厳しく,鉄道サイドに立体交差事業を進める力がないことから,公共事業,道路整備から財源を支出して高架化事業を促進しようと,建設省(道路側)と運輸省(鉄道側),協議して,昭和44(1969)に「都市における道路と鉄道の連続立体交差化に関する協定および同細目(建運協定と言われます)」が結ばれて,連続立体交差事業の進め方を決めたものです。

「連続立体交差事業」は,都市側と鉄道側の両者で費用を負担して実施されますが,事業費のうち高架施設費については、14%から5%を鉄道側が受益相当分として負担し,残り86%から95%を都市側が負担します。都市側の負担は,二分の一が国庫補助金で補助され,二分の一を地方自治体の一般財源でまかなわれることを定めたものです。

2)大都市と地方都市のメリットが違う

東京都23区部のような大都市では,輸送力の増強や土地利用の効率化などJRや鉄道サイドのとってもメリットはあり,鉄道サイドの負担は15%と大きくなっていますが,沼津市のような地方都市では,鉄道サイドのメリットは大きくないために,鉄道サイドの負担は5%に下げられて,都市側,道路側の負担が95%になってしまうわけです。事業効果がそれだけ,小さいと言うことでしょう。

 

 

第4章ー4

Q4

市民の声は反映してきたのか?

 

A4

 

①市民は鉄道高架化事業をどのくらい理解しているか

今では,市民全員が鉄道高架化事業の何であるかを知っていますが,この超巨大な公共事業はどうして生まれ,どうして,一つの方向になってきたのでしょうか。事業化の過程で市民の声はどう反映したのでしょうか。振り返ってみましょう。

 

1)自らの力量を知らない「夜郎自大」の三大中心都市意識

始まったのは,昭和60,1985,高度経済成長に影がさして,バブル経済が頭をもたげた頃であり,70年代の石油危機を脱して,再び日本経済が力強く躍動すると思われ,金融緩和,地価・株価の異常な上昇で,経済成長が永久に続くと錯覚された時でありました。国際公約から公共事業の拡大が国家的課題になった時代で,どこの都市でも大きな公共事業に奔走する機運がみなぎっていました。静岡市,浜松市の次の拠点都市を自負する沼津市も,静岡市,浜松市に続いて,鉄道高架化事業を導入しようとしたのも,当時では当然の空気だったのです。まさに「夜郎自大」(古代中国の漢時代の言葉)とはこのことをいうのでしょう。

 

2)バブル経済期みんなで決めた事業計画

昭和62,1987,「沼津駅周辺総合整備計画調査委員会」が設置されて,国や県の応援も受けて,専門家や中央官庁の役人の参加を得て,事前調査に着手しました。思い返してみると,私も研究会の一員として,沼津へやってきて,沼津軒の屋上から沼津

駅を見ながら,"なんだかんだ"と論議したことを思い出しました。翌年,昭和63,1988年に沼津市議会にも「鉄道高架化促進対策特別委員会」が設置されて,同時に,この建設費を積み立てる「沼津駅周辺総合整備基金」が設置されました。さらに沼津駅の高架化を実現する市民の会がスタートし,16万人の署名を集めて静岡県,建設省に鉄道高架化の実現を陳情したのです。確かに,「それ行けドンドン」の,バブル経済の最盛期であり,財政的にも,都市計画でも,この事業の推進に,誰も疑問を持つこともありませんでした。今になれば鉄道高架化事業にさまざまな問題はありますが,スタートした時に環境,考え方にはそれなりの背景があったのですから,やはり,その時代背景を理解する必要があります。

 

②バブルの崩壊そして経済社会の激変の中で

 

1)バブル経済の崩壊

平成2,1990年バブル経済が崩壊して,経済社会の大変化が現れた頃,バブル崩壊の先行きに注目することなく,静岡県が主体となり,基本構想の策定に着手したわけです。鉄道高架化事業としては,建設省と運輸省の協定で実施される立体交差事業の採択基準(交通量が大きい平面の交差点を対象にする。沼津駅は,平面交差の踏切ではなく,既に地下道の立体構造になっています)に適合せず,そのままでは補助事業としての採択が難しいために,鉄道高架化事業を前提にした旧国鉄用地,駅南の土地の土地区画整理事業および国道414号線(三つ目ガード)の道路整備と一体になった「六つの事業」を一体にした沼津駅周辺総合整備事業として,都市計画の必要性を高める計画案の調査検討が進められてきたわけです。

 

2)二人の建設省出身の市長の推進

この間に,建設省出身の二人の市長が相次いで就任し,政治的な立場から,推進を図ろうとします。建設省から都市計画の専門家が市役所の助役として就任して,必要な調査研究を行い,街路整備事業の国庫補助の対象になる連続立体交差事業としての都市計画の検討が進められました。以降数年間,バブル経済の崩壊,経済社会が激変する中で,バブルの崩壊が強く影響することなく,沼津駅周辺総合整備事業が沼津市役所,静岡県,建設省,JR株式会社との間で協議が進められてきました。一時的に,経済再生から公共事業の拡大が国政の重要施策になり,事業の可能性が強まったかに見え,平成12,2000年に鉄道事業者と都市計画に関する協議が成立します。

 

3)21世紀の経済環境の激変「公共事業の見直しへ

しかし,21世紀に入る頃には,公共事業,鉄道高架化事業を巡る経済環境は激変してしまいました。公共事業費は最盛期の半分になり,骨太の方針では,さらに5年間,毎年1%から3%の削減が行われることになりました。公共事業で鉄道経営を救済する連続立体交差事業は,高度経済成長期,財政拡大期の施策であり,財政事情の悪化から,それを維持することは難しく,国は公共事業の見直しによって,既存の公共事業を見直し,中止,延期する対策を採らざるを得ない状況になっています。

 

 

③二人の市長の相克,ねじれ現象

 

1)国と沼津市の財政悪化,事態の激変

その中で,鉄道高架化事業を推進しようとした前市長は退陣し,後始末をゆだねられて,後任に建設省出身の今の市長が就任しています。この間,国の財政は悪化の一途をたどり,沼津市の財政も逼迫して,財政的な余裕は薄れてしまっています。しかし、平成14,2002年に鉄道高架化(車両基地,貨物駅を含む)等の都市計画法による公聴会が開催され,平成15,2003年に,現市長の手で,鉄道高架化事業の都市計画が決定され,同時に国土交通省は,連続立体交差事業の新規事業として採択し,鉄道高架の事業が認可されています。

 

2)ねじれた前市長と現市長の対立一市長選挙の争点になる一この事業を巡る市民意識も,様変わりしており,無駄な公共事業は止めようと言う勢いが強まり,住民投票を求める住民運動や市長のリコールなど事業に反対する市民運動が進みます。沼津市政においても,計画を作った前市長が見直しを唱え,後始末を任された現市長が推進を主張するなどで,鉄道高架化事業は市長選挙の争点になり,沼津市政にも奇妙なねじれ現象が起きてしまっています。沼津駅鉄道高架化事業は,まさに経済社会の大転換のなかで,先行き不透明なままに,混迷を続けていると見ていいでしょう。

 

 

④問われる不十分な市民参加の意味

 

1)問われる市民参加の意義

市民が,この事業の存在を理解するのは,原地区で新貨物駅の事業が始まり,市役所の土地買収が進む時点になってからであり,市民が鉄道高架化事業の問題点を理解し,事業に疑問,質問を持つのは,都市計画が決定してからだと思います。市役所は,事業の推進には長い歴史があり,16万市民の署名もあり,市議会においても十分に論議されてきたもので,十分な説明責任が果たされていると言います。しかし,通常の公共事業なら,市民が市議会に任せたのであり,市議会の意向が市民の意向という理屈も通るでしょうが,2,000億円に及ぶ巨大な,沼津市の運命を決するような鉄道高架化事業であり,時代の転換とともに,住民参加や情報公開などのあり方,手続きが,もっと論議される必要のある公共事業を,市議会の予算決議や都市計画の手続きで十分だと言うのは,情報公開,市民参加が重要な政治的動きになっていることからも,決して十分とは言えないでしょう。当たり前の形式的な手続きで終わっては,市民の意見や希望を拒否する行政だして,市長や市議会の姿勢に,納得しかねると思う市民がいるのも当然であろうと思われます。

 

2)住民投票からリコール運動への発展まで

事業の検討を求める市民運動は,政治的な動きではなく,純粋な市民運動として,平成17年には,鉄道高架化事業に住民投票を求める条例の制定を市議会に訴え,55千票と言う圧倒的な賛成を得ており,市議会の論議が期待されましたが,残念ながら市議会では,「住民投票は必要なし」と一蹴されてしまい,さらに,平成18年には,現市長の解職を求めるリコール運動が開始されて,さらに混迷が深まりました。リコールは成立しませんでしたが,有権者の半数に近い52千人の賛同を得たと言う結果になっています。

第4章ー3

Q3

どこまで進んでいるのか?

一「進むも地獄止めるも地獄」一

A3

 

①手続きは完壁だが,中身が問題

都市計画の手続きは着々と進み,市役所が説明する通り,法的手続きに遺漏はないでしょう。平成18,2006年には,施行者の静岡県が鉄道高架化事業について,国土交通大臣の認可を受けるとされています。次は平成19年度予算に補助事業としての予算措置が行われるかどうかになっています。また,沼津市は,事業の推進を図るために,事業用地の先行買収を進めるとして,そのために271億円の資金を積み立て,線路用地,新貨物駅,新車両基地の買収を進めています。既に相当量の用地買収を完了しています。しかしこの基金は,税金を積み立てたものではなく実質的には,市の債務,借金をして積み立てたものですから,利子を支払い,返済しなければならない基金なのです。

 

②当てになるのか国の支援

さらに,何よりも一番心配なのは,これから国の事業費補助が計画通り,静岡県,沼津市に補助されるかどうかにあります。政治的にも,,地方の財政再建対策からも,補助金の支出は難しい選択になるでしょう。国の鉄道高架化事業の認可があったからといって,財政的な支援が確定しているわけではありません。また,一旦,補助金が支出されると,沼津市や静岡県は自分の都合や方針で,簡単に変更し,中止するわけには行かなくなります。

「補助金の適正化に関する法律」で事業を中止した場合には、補助金を返還しなければなりません。島根県の中海干拓事業や長崎県の諌早湾干拓事業の中止や変更が大問題になったのは,既に大量の財政資金が投入されているからです。

 

③進むも地獄,止めるも地獄

沼津駅鉄道高架事業が,いったん公共事業として,国、国土交通省が採択すると,事業の成果が明確ではなくても,財政負担に困難があっても,行政や政治の責任上,済し崩し的に,先行きの明確な見通しがないままに,事業が継続していくことになるでしょう。いつ完成するのか,事業期間に明確な見通しが立てられないままに,"ちんたら","ちんたら"工事だけが続いていくことになります。沼津市役所の基金の負担による,土地の買収は元に戻すわけには行かず,結果として無駄な投資になってしまうかもしれません。今,この事業を進めるにしても,退くにしても、その決断は大変難しい局面にあります。「進むも地獄,止まるも地獄」と言っていいでしょう。

 

④大損失を出した「コンコルドの誤り」を繰り返すな

「コンコルドの誤り」と言う言葉があります。フランス,イギリスが一体になった超音速飛行機コンコルドの開発で,膨大な開発費をかけて開発を進めたのですが,採算がうまくいかないと分かっても,既に支出した開発費を考えると進まざるを得ないと開発を強行した結果,さらに膨大な損失が生じてしまったと言うことで,使った金を惜しんだため,かえって損を大きくしてしまうことをいうのだそうです。鉄道高架化事業にもこれと同じことが言えそうです

× CLOSE

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

フリーエリア

最新CM

[07/21 真実勇蔵]

最新TB

プロフィール

HN:
資料ぶろぐ
性別:
非公開
自己紹介:
沼津を愛し、再生を願うものです。

バーコード

ブログ内検索

× CLOSE

Copyright © 資料ぶろぐ : All rights reserved

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]